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DXは「始める」よりも「続ける」が難しい時代に
デジタル化の流れが加速する中、「うちもDXに取り組まなければ」と考える企業が年々増えています。実際、IPAのレポートによると、国内企業の7割以上が何らかのDX施策に着手しており、DXの導入が当たり前になりつつあります。
とはいえ、「何から始めればいいのか分からない」「成果が見えにくい」といった悩みも多く、ただツールを導入するだけでは、なかなかうまくいかないのが現実です。
そこで本記事では、実際にDXに取り組み、成果を出した企業の事例をいくつかご紹介します。
成功のポイントや課題への向き合い方などを通じて、DXのリアルなヒントを得ていただければ幸いです。
なお、DXツールやサービスを探している方は、「主要DXツール/サービス紹介—実際に導入するとどう変わる?2025年版」も参考になります。
DX導入事例
アシックス株式会社

概要
スポーツ用品メーカーであるアシックスは、消費者との接点を広げるために、ランナー向けのアプリ「Runkeeper」やイベント管理プラットフォームの買収を通じて、顧客データを活用したデジタルサービスの構築に取り組んでいます。EC販売や会員基盤の強化を含むDX施策によって、リアル店舗とオンラインを統合した“体験型の購買導線”を実現しました。
特徴
・顧客のランニング履歴を活用したパーソナライズ提案を実施
・ブランドアプリとリアル店舗の会員基盤を統合
・アプリ経由でイベントやキャンペーンを展開し、顧客接点を拡張
活用例
スポーツ用品やフィットネス機器を扱う企業はもちろん、リアルとデジタルの融合による「エンゲージメント重視のECモデル」を目指す企業にとって参考になる取り組みです。
ダイキン工業株式会社

概要
世界最大級の空調機器メーカーであるダイキン工業は、設備の運転状況や故障予兆を遠隔で把握できる「DK-CONNECT」などのIoTプラットフォームを展開し、保守・点検の効率化を実現しています。空調機器の販売ビジネスから、「稼働データ」を軸にしたサービス型ビジネスへと移行しつつあり、業界全体の構造変革をリードする存在となっています。
特徴
・IoTによる機器の遠隔監視・異常検知を実現
・保守業務を効率化し、アフターサービス領域の競争力を強化
・データをもとにした定額制のサブスク型サービスを導入
活用例
製造業・建設業における設備保守のDX、または“モノ売り”から“コト売り”へ転換を図る企業にとって、B2Bビジネスの進化形として参考となる事例です。特に、既存製品にデータ価値を付加して収益構造を再設計したい企業に向いています。
ヤマト運輸株式会社

概要
物流業界の大手であるヤマト運輸は、荷物の追跡や再配達依頼に代表される顧客接点のデジタル化に加え、社内の業務プロセス改革にも注力しています。SAPと共同で導入した次世代基幹システム「Yamato Digital Platform(YDP)」を通じて、受取人・発送人・ドライバーをつなぐ情報連携を強化。物流を“見える化”し、業務の標準化と品質向上を両立させています。
特徴
・ドライバー業務の端末統一により業務負荷を軽減
・配送状況のリアルタイム把握と予測精度の向上
・荷主企業とのデータ連携で出荷業務も効率化
【活用例】
全国に多数の拠点を持ち、個別対応が多い業種(運輸・医療・流通など)で、属人化した業務の標準化・効率化を目指す企業に適したDXの実践例です。現場と顧客をつなぐ「両面DX」の先行モデルとして参考になります。
日産自動車株式会社

概要
自動車メーカー大手の日産自動車は、顧客体験の刷新とブランド力の強化を目的に、メタバースやバーチャル空間を活用したデジタル施策を展開しています。従来の実車試乗や展示会に代わり、オンラインで新型車の情報を閲覧・体験できる「NISSAN HYPE LAB」や、バーチャルギャラリーなどを提供。来店不要で多様なユーザー層と接点を持つ、新しいマーケティングDXを推進しています。
特徴
・メタバース上での新車発表やバーチャル展示体験を提供
・若年層や遠方ユーザーとの非対面接点を創出
・ブランドの世界観をデジタルで没入的に表現
活用例
自動車業界に限らず、「商品を体験してもらうことが大切な業種」——住宅、インテリア、旅行、アパレルなどにとって参考になる事例です。メタバースや仮想空間を活用したブランド発信やユーザー体験型の情報提供を検討する際のヒントになります。
オムロン株式会社

概要
制御機器やセンサ、ヘルスケア製品を展開するオムロンは、製造現場の生産性と品質を両立させる「スマートファクトリー化」に向けて、センシング技術とAIを融合した製造DXを推進しています。特に、目視検査を自動化する「AI画像判別」や、生産ラインの稼働最適化を図る予兆保全の仕組みなど、現場のリアルな課題解決を起点にした技術導入が特長です。
特徴
・AI搭載の画像判別システムで検査工程の人手を削減
・センシングデータを活用した設備保全や稼働最適化
・“止まらない工場”を実現するソリューション型DXを提供
活用例
製造業において、熟練作業者のノウハウ継承や人手不足が課題となっている現場で、再現性のある品質管理体制を構築したい企業に適した事例です。単なる自動化ではなく、「改善され続ける工場」を目指す企業にヒントを与えてくれます。
変革の第一歩は、あなたの会社から始まる
DXの取り組みは、単に新しいツールを導入することではなく、業務のあり方そのものを見直し、企業の体質を強くする「変化の起点」です。今回ご紹介した企業のように、現場の課題に真摯に向き合い、小さな一歩から着実に変革を積み重ねた先にこそ、本当の成果があります。
この記事で紹介した事例が、読者の皆様にとって「自社にとってのDXとは何か」を考えるヒントになれば幸いです。企業規模や業種が違っていても、どこかに必ず共通する悩みや乗り越え方があるはずです。
なお、本記事に掲載された企業様へのご紹介・連絡希望や、今後の事例追加をご希望の企業様は、以下よりお気軽にお問い合わせください。貴社の取り組みを、次回の事例紹介にて取り上げさせていただくことも可能です。
ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
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