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インバウンドSEO完全ガイド|訪日外国人を惹きつける多言語集客戦略

海外全般・英語圏
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活況を呈するインバウンド市場において、訪日外国人を効果的に集客する上で欠かせないのがインバウンドSEOです。

旅行前にインターネットで情報を探す外国人観光客に対し、彼らが使う言語で、的確な情報を提供し、検索エンジンの上位に表示されることが、集客の成否を分けます。

本記事では、企業が取り組むべきインバウンドSEOの基本概念から、具体的な戦略、実践方法までを徹底的に解説します。

インバウンドSEOとは?

インバウンドSEOとは、訪日外国人向けの集客を目的としたSEO(検索エンジン最適化)戦略のことを指します。これは、日本国内のユーザーに対する従来のSEOとは異なり、海外ユーザーを対象とした検索エンジン対策を行う点に特徴があります。具体的には、日本企業のウェブサイトをGoogleやBingなどの海外検索エンジンで上位表示させ、訪日を検討する外国人観光客やビジネスパーソンに情報を届けることを目的としています。

この戦略を成功させるためには、単に英語対応するだけでは不十分です。まず、ターゲットとなる国や地域の検索行動や言語的な表現の違い、文化的背景などをしっかりと理解する必要があります。その上で、現地ユーザーが実際に使う検索キーワードを調査・選定し、それに基づいてウェブサイトの構造やコンテンツを最適化します。

多言語対応や海外ユーザーの嗜好に合った情報発信も重要な要素です。例えば、英語圏のユーザーに向けては直訳ではなく、文化や習慣に配慮した自然な表現が求められます。ユーザーが安心してサイトを閲覧できるよう、表示スピードやモバイル対応などの技術的な最適化も欠かせません。

訪日外国人観光客が増加傾向にある今、インバウンド市場は拡大を続けています。その中でインバウンドSEOは、海外市場への効果的なアプローチ手段として、日本企業のマーケティング戦略においてますます重要性を増しています。

過去最高を更新するインバウンド需要

バックパックを背負った男性

円安と国際情勢が訪日需要を後押し

2024年上半期(1〜6月)の訪日外国人数は1,777万7,200人と、前年同期比65.9%増を記録し、過去最多となりました。外国人旅行者の消費額も3.9兆円に達し、いずれも記録更新です。
この背景には歴史的な円安があり、日本での旅行コストが割安となったことで、観光目的の来日が急増。今後もこの傾向が続けば、年間3,500万人・消費額8兆円に達する可能性も指摘されています。

韓国・米国・中国が主力市場、リピーターも増加中

国・地域別では、韓国が訪日客数で最多(444万人超)、次いで中国、台湾、米国が続きます。特に米国は2019年比で約1.5倍に増加し、中国も前年の5倍と急伸。コロナ禍からの回復が顕著です。
さらに、複数回訪れるリピーター層の拡大も見られており、今後は量と質の両面での成長が期待されます。

月間300万人超が定着、一人あたりの消費も増加傾向

2024年6月の訪日客数は313万5,600人で、4カ月連続の月間300万人超えとなりました。北米や東南アジアの夏季休暇と重なり、観光需要が一段と高まっています。
また、2024年4~6月期の外国人旅行者の平均支出は23万9,000円に上り、特に宿泊費が約3割を占めています。これは観光・宿泊業界への強い追い風となっており、地域経済への波及効果も期待されます。

参考:訪日客、年間最多3500万人へ 消費額8兆円視野―日本政府観光局
時事通信 経済部

インバウンドSEOが注目される背景

訪日観光客数のV字回復とインバウンド市場の急拡大

2023年以降、訪日外国人観光客数はコロナ禍の落ち込みから力強くV字回復し、歴史的な水準にまで回復しました。円安も追い風となり、日本国内での訪日客の消費額は過去最高の5兆円を突破。この急増するインバウンド需要は、多くの企業にとって大きなビジネスチャンスとなっています。

激化するインバウンド競争とオンライン集客の重要性

観光立国を目指す日本では、訪日客をいかに効率的に集客するかが企業の成否を左右します。多くの事業者がオンラインでの情報発信に力を入れ、検索エンジンやSNSを活用して訪日客との接点を増やしています。特に検索結果の上位表示は、集客の鍵となる重要な戦略です。

多言語SEOで信頼を築き、問い合わせ・予約につなげる

訪日客は英語をはじめとする外国語で情報を検索することが増えており、多言語対応のSEOが不可欠です。上位表示されることで信頼感が生まれ、訪日前から自社の強みを伝えられます。これにより、訪日客の比較検討を後押しし、問い合わせや予約の増加につなげることができます。

インバウンドSEOのメリット

Google Search Consoleの画面

新規顧客層の獲得

インバウンドSEOは、従来リーチできなかった訪日外国人観光客や海外ユーザーにアプローチできる手段です。検索エンジンを活用して、多言語で情報を発信することにより、ビジネスパーソン、留学生、観光客といった新たな顧客層を獲得できます。
日本市場が成熟し、国内だけでは成長が鈍化している企業にとって、海外からの新規顧客獲得は収益拡大の突破口となります。

オフライン集客との相乗効果

訪日予定の外国人観光客は、旅行前に〇〇 TokyoBest sushi in Osakaのようなキーワードで検索を行います。インバウンドSEOによって、旅行前や旅行中の検索で上位表示されれば、実際の来店・来場へと自然に導くことができます。
広告費をかけずに、オンラインとオフラインをシームレスにつなげる動線が作れるのは、大きなメリットです。

ブランド認知と信頼性の向上

多言語対応をしていないサイトは、たとえ魅力的なサービスを提供していても、検索結果に表示されず、存在しないも同然となります。インバウンドSEOによって、海外検索エンジンでも上位表示されれば、ユーザーは公式サイトがあるきちんと情報発信しているという印象を持ち、信頼感を抱きます。
これは、旅マエ・旅ナカの両方でユーザーの行動に直結するため、ブランドの認知拡大と信頼獲得の両面で有効です。

外国人口コミ・SNSでの波及効果

インバウンドSEOによって来店した訪日外国人が、SNSや口コミサイトで情報を拡散することは少なくありません。、英語や中国語などの多言語対応がされていると、投稿しやすくなり、情報が海外でも拡散されやすくなります。
これはSEO効果を補完するだけでなく、ユーザー生成コンテンツ(UGC)による認知拡大にもつながり、持続的な集客効果が期待できます。

グローバル競争力の強化と持続可能な成長

インバウンドSEOは、単なる集客施策にとどまらず、企業全体のグローバル戦略の基盤となります。検索対策を通じて国際的な視野でブランディングができれば、他社との差別化が図れ、海外市場での競争優位性を確立できます。
結果として、長期的・持続的に成長するための仕組みを構築できる点が、インバウンドSEOの大きな魅力です。

インバウンドSEOの基本戦略

海外からの訪日外国人を呼び込むためには、検索エンジンを活用したインバウンドSEO戦略が不可欠です。ここでは、訪日外国人向けにウェブサイトを最適化するための基本的なステップを紹介します。

ターゲット市場の選定

最初のステップは、どの国・地域をターゲットにするかを明確にすることです。自社の商品やサービスに関心を持つ可能性が高い市場を絞り込むことで、戦略の精度が高まります。市場調査を通じて、言語、文化、購買習慣、インターネット利用傾向などを把握し、最も効果的なターゲット層を見極めることが重要です。例えば、中国、韓国、台湾など近隣諸国は訪日客数が多く、優先的に検討すべき市場といえるでしょう。

言語対応

ターゲット国に合わせた言語対応は、インバウンドSEOにおける中核的な施策です。機械翻訳ではなく、ネイティブによる翻訳を行い、自然な表現で情報を提供することが、ユーザーの信頼獲得につながります。単に文章を訳すだけでなく、通貨や日付表記、文化的なニュアンスへの配慮も必要です。言語の最適化は、検索エンジンからの評価にも大きく影響します。

海外向けコンテンツの作成

訪日予定の外国人が興味を持つようなコンテンツを企画・制作しましょう。観光地の紹介、交通手段の説明、買い物ガイド、飲食店情報など、実用的で魅力的な内容が求められます。ターゲット市場のニーズを踏まえて、ブログ、動画、インフォグラフィックなど形式を工夫し、検索ニーズとマッチしたコンテンツを定期的に発信することで、エンゲージメントを高めることができます。

海外SEO対策

対象国で利用されている検索エンジンに対応したSEO施策を行いましょう。Googleが主流である国もあれば、中国ではBaiduが、ロシアではYandexが利用されています。各検索エンジンのアルゴリズムに適したキーワード選定とコンテンツ最適化が必要です。現地語での検索トレンドを把握し、それに合わせたタイトルやメタディスクリプションの設計も効果的です。

ソーシャルメディア活用

海外ユーザーにアプローチするためには、ソーシャルメディアの活用も有効です。ターゲット市場で人気のあるSNSプラットフォーム(例:Instagram、Facebook、X〈旧Twitter〉、WeChatなど)を通じて、情報発信とコミュニケーションを図りましょう。フォロワーとの関係構築は、ウェブサイトへの誘導だけでなく、ブランド認知の向上にも寄与します。

効果的なインバウンドSEO施策

スマートフォンでSNSを見る人物の手元

インバウンドSEO戦略を成功させるには、ターゲットに応じた施策を計画的に実行することが重要です。以下では、訪日外国人や海外市場に向けたアクセスを増やすための代表的な5つの取り組みを紹介します。

世界のユーザーに伝わるサイト設計を

まず重視すべきことは、ターゲットとする言語への対応です。機械翻訳に頼らず、現地の文化や表現を理解したプロの翻訳者を活用することで、ユーザーの信頼を得られる自然なコンテンツを提供できます。多言語対応が可能なCMSを導入することで、運用の手間を軽減しながら、複数言語での情報発信が可能になります。

文化に寄り添った情報発信で興味を惹く

海外ユーザーに響くコンテンツを作成するには、その国や地域の文化や習慣を踏まえた情報発信が不可欠です。現地で人気のあるテーマや課題を取り上げ、ブログ、動画、インフォグラフィックなど多様なフォーマットで発信することで、より多くのユーザーとの接点を築けます。

海外検索ユーザーの視点でキーワードを選定

グローバルなSEOでは、キーワード調査の視点も現地目線が必要です。Google Keyword Plannerなどを活用し、現地ユーザーが実際に使用している語句を洗い出しましょう。その上で、タイトル・見出し・本文に適切に組み込むことで、検索結果の上位表示が期待できます。

技術面からの最適化で検索順位を強化

海外検索エンジンに評価されやすいサイトにするには、表示速度、モバイル対応、サイト構造などの技術的な調整も不可欠です。Googleをはじめとする検索エンジンの評価基準に準拠した改善を行うことで、SEO効果を底上げできます。

SNS活用で海外ファンとの接点を広げる

海外ユーザーとのつながりを深める手段として、ソーシャルメディアの活用も効果的です。FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などの主要SNSで現地トレンドに合わせた投稿を行い、ユーザーとのエンゲージメントを高めましょう。インフルエンサーとの連携や広告運用も視野に入れることで、認知拡大と集客効果が期待できます。

このように、それぞれの施策を丁寧に組み合わせて運用していくことで、インバウンドSEOの成果は着実に向上します。海外市場のニーズに応える姿勢を持ち、継続的に改善していくことが成功の鍵となります。

成功事例に学ぶインバウンドSEO

地域観光協会による多言語施策の事例

高山市観光協会

高山市観光協会

岐阜県高山市の観光協会は、英語・中国語・韓国語・タイ語の4言語でウェブサイトを展開し、インバウンド観光客の大幅な増加を実現しました。Takayama tourism飛騨高山 観光などのキーワードで各言語の上位表示を獲得しました。古い町並み飛騨牛温泉といった地域固有のコンテンツを各国の文化に合わせて翻訳・最適化することで、検索流入が前年比300%増加しました。

京都市観光協会

京都市観光協会

多言語対応サイトKyoto City Official Travel Guideでは、季節ごとの観光情報を12言語で発信しました。Kyoto travel guide京都 桜Kyoto templesなどで上位表示を維持し、年間200万人の海外観光客誘致に貢献しています。

ホテル・旅館がGoogleマップ集客で成功した例

星野リゾート

星野リゾート

全国の施設でGoogleマイビジネスを活用し、軽井沢 リゾート由布院 温泉などの地域キーワードでマップ検索上位を獲得しました。各施設の特徴的な写真投稿と定期的な情報更新により、Googleマップ経由の予約が全体の25%を占めるまでに成長しました。

加賀屋

加賀屋

石川県和倉温泉の老舗旅館として、和倉温泉 高級旅館能登 おもてなしでマップ検索1位を維持しました。外国人観光客向けに英語での口コミ対応を強化し、TripAdvisor(https://www.tripadvisor.jp/)との連携も図ることで、海外からの予約が40%増加しました。

アパホテル

全国展開するビジネスホテルチェーンとして、各地域の駅近 ホテル出張 宿泊でマップ検索上位を独占しました。統一されたブランド戦略と地域特化コンテンツの組み合わせにより、年間予約の30%をGoogleマップ経由で獲得しています。

EC・飲食業の海外口コミ活用による集客増加

一蘭ラーメン

一蘭ラーメン

海外展開に伴い、TripAdvisor、Yelp、Google レビューでの口コミマーケティングを強化しました。authentic ramen Tokyo best ramen in Japanで上位表示を獲得し、海外観光客の来店が200%増加。とんこつラーメンのみのメニューや味集中カウンターなどの特徴的なサービスが話題となり、自然な口コミ拡散を実現しました。

楽天市場

楽天市場

越境ECプラットフォームとして、海外レビューサイトTrustpilotやGoogle ショッピングレビューを活用しました。Japan shopping onlineauthentic Japanese productsで上位表示を維持し、海外売上が前年比150%増加しました。日本の伝統工芸品や食品カテゴリーでの成功が顕著です。

これらの成功事例から学べるのは、地域特性や業種の特徴を活かした専門的なコンテンツ作成、多言語対応の重要性、そして顧客の声を活用した信頼性の構築です。継続的な情報発信と顧客とのコミュニケーションが、インバウンドSEO成功の鍵となっています。

よくある質問(FAQ)

Q:多言語SEOは本当に効果がありますか?

A. はい。現地の言語で検索されることで検索結果に表示されやすくなり、アクセス増加につながります。

Q:どの言語から始めればよいですか?

A. ターゲットとなる訪問者の多い言語から始めましょう。英語・中国語・韓国語が定番です。

Q:インバウンドSEOを外注する際のポイントは?

A. 海外SEOの実績と多言語対応の経験があるかを確認しましょう。翻訳だけでなく現地に合った最適化ができるかが重要です。

Q:費用対効果はどう考えればいい?

A. 初期費用はかかりますが、自然検索からの集客が可能になるため、広告費削減や新規顧客獲得につながります。

Q:日本語ページを翻訳しただけではダメ?

A. 直訳では伝わりにくいため、現地ユーザー向けに表現を調整するローカライズが必要です。

まとめ

本記事では、拡大するインバウンド市場におけるインバウンドSEOの重要性と基本的な戦略を解説しました。訪日外国人がインターネットで情報を探す今、彼らの言語で的確な情報を提供し、検索上位表示を目指すことが集客の要となります。

成功には、ターゲット理解に基づいた多言語対応と最適化、そして継続的な情報発信が不可欠です。変化する市場に対応し、インバウンドSEOを積極的に活用することで、海外からの顧客を効果的に惹きつけ、ビジネスチャンスを広げることが可能になります。

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