目次
日本市場の縮小が進む中、海外展開を視野に入れる企業が増えています。しかし、海外市場の特徴や成功のためのマーケティング戦略が分からず、どこから始めるべきか悩む方も多いのではないでしょうか?
本記事では、海外マーケティングの基本手法や成功事例を紹介し、効果的なプロモーション戦略や注意点を分かりやすく解説します。海外進出を検討している企業の担当者必見の内容です!
海外向けのマーケティングとは?

海外マーケティングとは、海外に住んでいる人に向けて、自社のサービスや製品を幅広く認知してもらい、購入へ繋げるための企業活動です。最終的には、自動的に売れていく仕組みづくりを目指します。
海外では、日本よりもWEB環境が整っている国が多く、多くの人にとってインターネットから情報を得ることは当たり前となっています。
海外向けのマーケティングを考える時に、インターネットの活用は欠かせないのもとなります。
海外向けマーケティングの重要性は高まっている
スマートフォンの普及により以前にも増してSNSやECサイトが身近な存在となりつつあります。ECサイトをめぐる販売側のシェア争いは今後、より熾烈なものとなっていくでしょう。
数多くの商品やサービスの中から、自社を見つけてもらうにはWEBマーケティングによる施策は欠かせません。WEBサイトへ訪問してくれたユーザーの行動分析を元に、販売への動線をつくるWEBマーケティングは、マーケティングの要となるでしょう。
海外でのマーケティングを考える場合は、まずWEBマーケティングにて海外のトレンドを調べるほうが良いでしょう。
具体的な海外マーケティングの事例や、弊社のサービスがどのようにお役立てできるかについては、こちらの資料をご覧ください。
海外向けマーケティングの2つの手法

続いて、海外向けのマーケティングで活用できる手法について二つご紹介します。
BtoCマーケティング
まず一つ目に、BtoCマーケティングです。
BtoCマーケティングは、一般消費者である個人をターゲットとします。
自社が定めた一律の価格で、来店・通販・小売経由で商品を販売します。
販売方法としては実店舗で販売する以外に、海外では現地企業に自社ブランドのライセンスを付与する方法や、日本からオンラインで販売する越境ECのような販売方法が考えられます。
プロモーション方法としては、現地のインフルエンサーを起用したSNSマーケティングや、Webサイトでの情報発信、インターネット広告を利用するなどメディアを活用して現地顧客の認知を高めることが挙げられます。
BtoCマーケティングの特徴は、購入者個人での意思決定となるため、購入決定までのスピードが速いという点が挙げられます。
また、「自身の満足度」を高めることを目的とした購買行動なので、合理性だけでなく感情面でも購入の判断がなされます。
BtoBマーケティング
二つ目に、BtoBマーケティングです。
BtoBマーケティングとは、企業をターゲットにする手法のことを指します。
企業を顧客相手とするため、自社で価格を定めるのではなく、希望要件を伺いながら見積もりを行うケースが多いです。そのためBtoCマーケティングよりも取引金額が高額になるケースが多いです。
また、販売は直接販売またはパートナー企業を通じた販売になります。
海外顧客に対しては、展示会やセミナーの開催を通して実際に現地を訪問して会ったり、またWeb上で電話やメールを活用し見込み顧客を獲得していくことが可能です。
ポイントとしてはマスに向けたプロモーションではなく、ターゲットにする企業のニーズを定性的な調査で探り、個別に1対1で提案を行うことです。
BtoBではBtoCと比較し市場規模は小さいものの、リピートしてもらうことで企業同士深い関係になることが多く、顧客との関係構築が非常に重要となります。
近年ではSNSやインターネット広告のようなデジタルマーケティングの手法を取ることもありますが、いずれにせよ海外顧客とのコミュニケーションが最重要と言えます。
BtoBマーケティングの特徴としては、検討から購買までの期間が長いという点が挙げられます。
BtoBは企業(法人)を顧客とするため、意思決定者が複数存在し、購買の有無に関しても多くの議論を経て決まるケースが多いです。
そのため、認知から購入までに至るプロセスを各社に最適なアプローチで効率化していくことが大切です。
海外向けマーケティングの具体的な施策
海外マーケティングに向けた具体的な施策の内容を説明します。
①SEO
海外WEBマーケティングにおいても有効な手段となり得るのが、SEO対策です。SEO対策とは、ユーザーが特定のワードで検索した時に、検索結果を上位表示させるために行う施策です。
世界の検索エンジンのシェアの多くをGoogleが占めているため、実質Google対策と見ることもできます。
SEO施策の基本は、検索キーワードと自社の商品、サービスとの関連付けです。その上でユーザーがサイトを訪問した時に満足してもらえるコンテンツを盛り込む必要があります。
さらに、現地の人にとって最適な伝え方をするために、ネイティブにコンテンツ設計を作成/監修してもらうことが重要です。
海外SEOとは?日本との違い・注意点・コンテンツ作成のポイントを解説
②リスティング広告
リスティング広告も海外向けのマーケティングにおいて活躍します。リスティング広告は、Googleの検索エンジンで検索されたキーワードに対応する広告を出稿するシステムです。
海外でのリスティング広告で成果を出すには、どのようなキーワードで検索されているのか、事前の調査が必要です。
検索ニーズに合致したWEB広告を出すことで、リスティング広告の効果を最大化できます。
より効果を出すには、広告文をより現地の表現に近づける必要があります。日本語で作成したテキストを現地語に翻訳しただけでは、ユーザーにうまくイメージを伝えることはできません。
SEO対策と同様に、リスティング広告に乗せるテキストも現地の人に書いてもらうほうが、より効果的です。
5分で徹底解説!これさえ見れば、海外向けリスティング広告が分かるまとめ
③SNSマーケティング
SNSを使ったマーケティングは今や、WEBマーケティングには欠かせないものとなりました。
海外では日本よりも積極的にSNSが使われています。国や地域によって使われているSNSが大きく異なるため、事前の調査は必須です。
例えば、フィリピンではFacebookの利用率がとても高い一方で中国では全く使うことができず、代わりにWeiboやWechatが頻繁に利用されています。
ピンポイントにマッチしたSNSマーケティングができると大きな成果が期待できますが、外れてしまうと思った効果が得られないのがSNSマーケティングです。
事前のリサーチによって、マーケティングの成否が大きく別れますので、計画とリサーチを入念に行いましょう。
海外向けSNSマーケティングの基礎を徹底解説!成功のポイントとは?
④動画マーケティング
動画配信サービスを活用したマーケティングは、5Gの拡充などインフラ整備の進捗とともに人気が高まりつつある手法です。動画マーケティングの主な目的は、商品の認知度アップ
やブランディング、ファンの創出です。
ターゲット層となるユーザーに実際に商品を使ってもらい、感想を動画で配信するなどして、海外のユーザーにもよりリアルにイメージしてもらい、販売促進に繋げることができます。You Tubeを始めとして、Tik TokやInstagramのストーリーズなど、動画によるマーケティングは拡大の一途をたどっている最中です。
動画マーケティングのジャンルは、動画配信プラットフォームの拡充にあわせて、今後益々活況を呈してくると見られています。
⑤口コミ、レビューマーケティング
レビューマーケティングは、実際に商品を使ったことのあるユーザーから寄せられるレビューを活用したマーケティングです。
話題性と認知を広げるために使われる手法です。最近では、ユーザーは商品やサービスの購入を検討する時に、他のユーザーの口コミを参考にするようになっています。CMなどメディアを介して発信される情報の信憑性は低下するばかりです。
良いレビューがSNSを介して拡散されるPR効果は甚大なもので、広告費用をさほどかけずとも新しいユーザーを獲得できる可能性も高まります。
一方で、レビューや口コミが嘘だったり、ステルスマーケティングとして見なされると、評判は一気に低下し、海外では法律に触れることにもつながるため、安易に考えないようにしましょう。
⑥OMOマーケティング
OMO(Online Merges with Offline)マーケティングは、オンラインとオフラインの区別を取り払い、顧客ニーズに合わせた製品やサービスを提供することで、顧客体験を最大化するマーケティング手法です。
企業が実践するOMO施策の例としては、オンラインでの商品購入後、店舗での受け取りサービスや、飲食店などでのモバイルオーダーが挙げられます。これらは顧客にとって待ち時間の短縮や利便性の向上をもたらし、企業にとっては発送コストの削減や顧客情報の収集につながります。
OMOを積極的に導入することで、良好な顧客体験を提供するだけでなく、企業の事業拡大にも繋がるでしょう。ただし、OMOは企業がオンラインとオフラインの情報をシームレスに管理することが必要であり、システムやデータの一元化に取り組む必要があります。
今後、OMOマーケティングは、デジタル技術の発展によって重要性が高まると予想されています。
⑦O2Oマーケティング
O2O(Online to Offline)マーケティングは、オンライン(WEBサイト、SNS、インターネット広告など)での情報発信を通じて、実店舗などのオフラインへ誘導し、購買を促進させる施策のことです。
スマートフォンの普及やインターネットの発展により、O2Oマーケティングは、近年注目されているマーケティング戦略の一つです。実店舗がある企業でも、ネット上での情報発信が必要不可欠となっています。
企業が行う具体的な施策の例として挙げられるのは、閲覧者やフォロワーに対して来店時に使えるクーポンを配布する、GPSを利用してチェックインした顧客には特典を渡す、などです。
このように、O2Oマーケティングでは、オンライン上で実店舗への来店を促進する施策を行います。オンラインでの情報発信によって、実店舗への集客が促進されるため、顧客への購買促進が可能です。また、顧客には特典があるため、顧客満足度も向上するというメリットもあります。
海外進出へ向けたマーケティング戦略の手順

続いて、マーケティング戦略の手順についてご紹介します。
海外進出のためのマーケティング戦略にはいくつかステップがあるので、それぞれの段階における重要ポイントを確認しましょう。
弊社がこれまでの海外マーケティングの支援経験をまとめたお役立ち資料に関心がある方は、こちらでダウンロードが可能です。
現地ニーズ・市場調査
まず一つ目に、現地ニーズ・市場調査です。
ターゲット国の見込み客となりうる層はどこか、どんな課題・ニーズが存在しているか、現状それらのニーズは何で満たされているのか。など、現地ニーズやターゲットの調査を行うことがまず重要です。
2つ例をご紹介すると、
①台湾向けに機能性ワイシャツを販売されようと計画していた企業が、実際に市場調査を行なったことで、台湾では気温が高い気候特性から、ビジネスシーンや日常生活でワイシャツを着用するケースが少ないことがわかりました。
②お菓子メーカーが訪日外国人に対して自社商品を販売したいときに、ターゲット国選定に迷っていましたが、実際に観光庁の発表する消費動向調査を参考すると、各国の外国人観光客の方が、10人中何人が訪日中にお菓子を購入するのか?というデータを元にターゲット国を決めています。
ターゲットが存在しない、ニーズがあると想像しているだけの状態でマーケティング施策を打っても成功確率は高まらないため、ニーズ・市場調査が重要です。
ターゲット顧客の選定
二つ目に、ターゲット顧客の選定です。
ここでは、ターゲット顧客の選定に必要なセグメンテーションと呼ばれる市場分析の方法についてご紹介します。
セグメンテーションとは、市場に存在する不特定多数の人々を様々な切り口で分類し、性別や年齢など属性ごとにグループ分けすることです。
セグメンテーションを行うことで、自社商品・サービスがどの層にとって価値あるものなのかを明確にすることができます。
セグメンテーションの軸として使われるのは年齢や性別だけでなく、居住地などの地理的変数、パーソナリティーなどの心理的変数のように様々に存在します。
そのため、セグメンテーションを行う際には4Rと呼ばれる4つの条件に留意しながら顧客グループを絞り込む必要があります。
4RとはRank(優先順位) 、Realistic(有効な規模) 、Reach(到達可能性)、Response(測定可能性)の4つの条件を指し、ターゲット顧客の判断に大切な指標となります。
ただし、海外向けとなると範囲が広く市場調査も膨大な量となってしまうため、競合他社の動向を事前調査するなど、ある程度見通しを立てながら分析していくようにしましょう。
参考:Adobe Experience cloud『セグメンテーションとは?使い方や活用事例』
https://jp.marketo.com/content/how-to-use-segmentation.html
自社が提供する価値を言語化する
三つ目に、自社が提供する価値を言語化することです。
ターゲット顧客が確定したら、次に彼らに提供する価値を明確にしていきます。
様々な商品やサービスが大量に溢れる現代では、より自社の提供する価値やメリットを顧客に丁寧に提示することが重要です。
例え同じ種類の製品であっても、それぞれのメーカー・ブランドで差別化されていることで消費者は特定の製品を選びます。
価値の言語化の際に重要なのが、この商品を買ってくれる「一番最初のファン」について、自社の中で共通認識を固めておく事です。海外の場合はイメージしづらいかもしれないですが、既に国内向けなどでEC展開やSNSを運用している場合は、在日外国人の方からの購入や海外からのアクセスがあるはずです。これらを参考に自社なりの解釈を具体的にしておく必要があります。
また海外の消費者は特に、機能や価格だけでなく商品そのものがどのように社会に貢献しているか、という視点を大切にしています。
潜在的なバリューは言語化することで初めて消費者に伝えることができるため、どのように伝えるとターゲット顧客の心に響くかという点も意識しながら言語化していきましょう。
価値の提供方法を決定
四つ目に、価値の提供方法を決定することです。
誰に、どんな価値を提供するかが定まったら、その価値の提供方法を検討していきます。
今回は1990年代に提唱された4C分析に沿って提供方法の具体例をご紹介していきます。
4つのCはそれぞれ、「Customer Value(顧客価値)」、「Cost(コスト)」、「Convenience(利便性)」、「Communication(コミュニケ―ション)」の頭文字をとっています。
4Cは消費者が商品を購入する際に意識することをまとめたもので、これら全てを満たしていると「価値が高いのにコストが低く、購入する際の利便性が高く顧客とのコミュニケーションも充実している」ということになります。
4Cのフレームワークを参考にしながら、ターゲット顧客にはどのような提供方法がフィットするか考えてみましょう。
戦略に合った施策を実行
五つ目に、戦略に合った施策を実行するということです。
「誰に・どんな価値を・どのような提供方法で」という先述した手順が決まったら、早速マーケティング施策の具体的なスケジュールを決定します。
スケジュールが決定したら実行するために必要なステップとやるべきことを明確化します。
その際、社内のリソースや現地のパートナー企業などマーケティング施策に関わる人々と相談しながら、実行可能なスケジュールを立てていきましょう。
海外向けマーケティング成功のポイント

続いて、海外向けマーケティング成功のポイントについて、いくつかご紹介していきます。
現地のニーズや市場の変化を知る
1つ目に、現地のニーズや市場の変化を知るということです。
海外進出を検討する企業は、進出前にSWOT分析等で自社の競争力をあらかじめ把握しておきましょう。
SWOT分析は自社の内部環境と外部環境、プラス面とマイナス面を正しく理解するための分析手法です。
対となる4軸を合わせて分析することで、客観的に全体像を捉えることができます。
自社の競争力を把握しておかないと、進出時に現地の競合他社と対抗できず、顧客は自社に興味を惹かなくなってしまいます。
また競争優位性に欠けると、海外の取引先からの受注が滞ってしまうなどの問題も発生する恐れがあるため、差別化戦略は重要だと言えます。
日本国内にいたとしても、あらゆる手段を使って現地のニーズや市場の変化に関する情報収集は継続的に行うようにしましょう。
また情報収集を行うだけでなく、 得た情報は商品開発や販売手法にすぐ活かすようにして、顧客満足度を高められるよう心がけましょう。
ターゲット地域の言語や文化を把握する
2つ目に、ターゲット地域の言語や文化を把握するということです。
海外向けのマーケティングにおいて、現地で話される言語と文化背景を理解することは非常に重要です。
宗教や生活習慣などの文化背景が違えば、人々のライフスタイルやニーズは異なります。まずはターゲット国と日本では言語や文化が異なると理解した上で、現地調査をしターゲット顧客のニーズを探っていきましょう。
現地の情報を入手するには、現地に足を運び生活に密着することが望ましいですが、難しい場合はターゲット地域の言語や文化に詳しいパートナーやサポート企業が必要となります。
自社で調査をすることが容易でない場合は、社外の力を借りましょう。
また、利用されるインターネットサービスも国や地域によって異なります。
例えば、日本だけでなく世界的に見ても検索エンジンはGoogleが主流ですが、海外では国ごとに異なる検索エンジンが利用されています。
このように、ターゲット顧客の言語や文化に提供する商品・サービスを合わせたとしても、提供方法までローカライズしなければなりません。
ネット広告やSNSアカウントなど、しっかり自社の存在を認知してもらうために現地で広く利用されているネットサービスを活用するようにしましょう。
現地パートナーや代理店とのコミュニケーション
3つ目は、現地パートナーや代理店とのコミュニケーションです。
現地パートナーや代理店を通じて販売を行う場合には、予めそれらの企業の信用情報とマーケティング能力を調べる必要があります。
社内でのマーケティング業務をパートナーや代理店に任せてしまうと、顧客がどんなリアクションをし、どんなニーズを持っているか、のような情報が入手しにくくなり、自社のマーケティング戦略に沿った販売活動が行えているかが可視化されなくなってしまいます。
特に販路拡大を目的とした海外進出の場合、現地についての知識と経験があり、広くネットワークを持っている現地パートナーとの連携はとても重要です。
現地パートナーと連携することによって、自社だけでは実現しなかった見込み客や新たなビジネスチャンスを増やすこと、そしてさらなる販路拡大などが期待できます。
現地パートナーを選ぶ際は、現地パートナーに求める機能と、自社が現地パートナーに提供できる価値、この2つの価値を明確化することがポイントです。
どちらか一方的なコミュニケーションにならないよう、現地パートナーにアプローチする際は自社と連携することでwin-winの関係性が築けるということをアピールしましょう。
長期的な付き合いとなるため、信頼関係構築のためにもコミュニケーションは綿密に取っていくことが重要です
また、実際にマーケティング戦略の実施がスタートしてからは、現地パートナーや代理店には定期的に販売レポートを提出してもらい、販売活動の中で得た情報は全て社内でも共有されるようにするようにしましょう。
現地パートナーや代理店のみが情報を把握しているという状況は、自社にとって危険のサインだと考えましょう。
他にも、国内のビジネスとは全く違うということを意識する必要があります。
例えば、日本では企業間においてメールでのやりとりが多いですが、海外ではSNSメッセンジャーを使ったやりとりを好む企業担当者も多くいます。
また会食をする際、宗教上の理由で肉食やアルコールを避ける人もいます。
このように日本で当たり前とされているビジネスマナーや食文化が、ターゲット国でも当然とされているとは限りません。
それと同時に、商品に対する考え方も異なる場合が大いにあり、日本人が求めるような高品質・低価格以外の側面を重視するといった違いもあります。
海外向けマーケティングの成功事例7選
では、ここで海外向けマーケティングの事例について紹介していきます。今回紹介する事例は、下記の7社です。
- オーサカステンレス
- Salesforce
- ファーストリテイリング
- 資生堂
- 日清食品
- アサヒグループ
- キッコーマン
各社の海外マーケティングの事例について、詳しく確認していきましょう。
オーサカステンレスの事例:製造業サイトの英語プロモーションで成約率30%アップ
オーサカステンレスは、製造業のグローバル展開を目指し、英語によるプロモーションを強化することで認知度と成約率を向上させた成功事例です。
成功のポイント①:英語サイトの設計とコンテンツ戦略
• トップページで強みを可視化
訪問者が一目で「何が優れているのか」を理解できるように、製品や技術の強みをビジュアルで打ち出しました。
これは、海外市場では特に重要で、視覚的に訴求することで瞬時に興味を引く効果があります。
• ネイティブによるコピーライティング
直訳ではなく、ターゲット市場に合わせた「自然な英語表現」を用いることで、信頼感を醸成しました。
海外では不自然な英語表記のサイトは「ローカル企業」と見なされがちですが、プロによるライティングを導入することで、競争力のあるグローバルブランドの印象を与えました。
成功のポイント②:リスティング広告による顕在層へのアプローチ
検索エンジンを活用し、海外市場で自社の製品を探している企業・バイヤーに向けて広告を配信しました。 これにより、すでにニーズがあるユーザーへ直接リーチでき、短期間で成約率アップにつなげることができました。
サイト改善前と比べて成約率が30%アップ
「強みが一目で分かる設計」+「ネイティブな英語コピー」+「的確な広告戦略」が相乗効果を生み、成果を出しました。
これは、単に英語サイトを作るだけではなく、ターゲット市場の視点に立ち、「言語+デザイン+マーケティング」 の三位一体の戦略を取ることが成功の鍵だったといえます。
この事例から学べること
- 英語サイトは翻訳だけでなく、現地の視点で設計する
- 「英語版を用意した」だけでは不十分。ターゲット市場の文化やビジネス習慣に合わせて情報設計・デザイン・コピーを最適化することが重要。
- 視覚的に強みを伝える
- 海外の企業・バイヤーは、初対面の企業に対し「何が優れているのか」を短時間で判断するため、画像や動画を活用して分かりやすく伝えることが効果的。
- リスティング広告と組み合わせる
- SEO(検索エンジン最適化)だけでは即効性がないため、広告を活用し、短期間でターゲット層にリーチする手法も有効。
このように、オーサカステンレスの事例は、製造業に限らず、海外進出を検討する企業にとって有益なヒントを多く含んでいます。
「ただ英語サイトを作る」のではなく、マーケティングの視点を持ち、ターゲット市場に適した施策を打つことが、成功へのカギとなるでしょう。
セールスフォースの成功事例:BtoB向け動画マーケティングの戦略と効果
アメリカでは、BtoB企業においても動画を活用したマーケティングが積極的に行われています。特にセールスフォース(Salesforce) は、動画を戦略的に活用し、見込み顧客の獲得から育成(ナーチャリング)、成約、サポートまでの全プロセスで効果を最大化しています。
BtoBでも動画マーケティングが有効な理由
BtoBマーケティングでは、購買プロセスが長く、検討要素が多いため、文章だけではなく「動画」で視覚的に情報を伝えることが効果的です。特に以下の点が動画の強みです。
1. 短時間でわかりやすく情報を伝えられる
- 複雑な製品やサービスの説明を簡潔に伝えられる。
- 購買決定者が多いBtoBでは、社内共有資料としても活用される。
2. 感情に訴え、信頼感を醸成しやすい
- インタビューやストーリー性のあるコンテンツを活用することで、企業への親近感や信頼感を高める。
3. SNSや広告との相性が良い
- 動画広告は静止画よりもエンゲージメント率が高く、認知拡大に効果的。
この事例から学べること
• ターゲットごとに適した動画コンテンツを作る
→「とりあえず動画を作る」のではなく、目的ごとに分類し、適切なプラットフォームで配信する。
• 短尺と長尺を使い分ける
→ 認知拡大用は30秒〜1分、商品紹介やウェビナーは5〜10分など、用途に合わせた長さを意識する。
• 広告・SNS・メールマーケティングと組み合わせる
→ YouTubeやLinkedIn広告、リターゲティングを活用し、動画視聴者をナーチャリングにつなげる。
ファーストリテイリング(ユニクロ・GU):徹底したローカライズ戦略
「ユニクロ」「GU」などのファッションブランドを展開する株式会社ファーストリテイリングは、海外マーケティングに優れている企業の筆頭です。
「ユニクロ」が世界各地で人気を博している理由は、徹底したローカライズ戦略です。たとえば、東南アジアでは、ムスリム向けのヒジャブ(イスラム教徒の女性が、頭髪や首、顔などを隠すために着用するスカーフやベールなどの布地)を販売したり、海外出張者が多い国ではフリースを年中販売するといった戦略をとってます。
また、ファーストリテイリングは展開するブランドにおいて、ひとつひとつのカテゴリー・商品ごとに、国・エリア別の売場・在庫・生産・販売状況を可視化して、精密な販売計画を立てています。
加えて、販売計画の日々の修正も、商品・色・サイズ・国・店舗ごとに、すべての情報を可視化して実施している点も特徴です。
この精密な販売計画と日々の修正により、各国・各エリアで欠品・過剰在庫が減少して、売上拡大、粗利益率アップなど、経営効率を大幅に改善しています。
この事例から学べること
• ターゲット市場ごとに最適な商品展開を行う
→ 市場の文化・気候・ライフスタイルに合わせた商品展開(例:ヒジャブ販売やフリースの常時販売)を行うことで、ローカライズを強化し、競争力を高める。
• データ活用による販売計画の最適化
→ 国・エリアごとに売場・在庫・販売データを可視化し、在庫管理や生産計画を最適化することで、欠品や過剰在庫を防ぎ、利益率を向上させる。
• 販売チャネルの特性に合わせた戦略を構築
→ オンラインが強い地域ではECを強化し、店舗主体の市場では体験型プロモーションを活用するなど、販売手法を市場ごとに適応させる。
参照:https://www.fastretailing.com/jp/ir/library/pdf/20180412_wakabayashi.pdf
資生堂
化粧品の製造・販売を手掛ける資生堂は、約120の国や地域に事業展開しています。海外売上比率は年々高まっており、2015年には海外売上比率が国内売上比率を超えました。現在は海外売上比率は6割を超えており、海外で資生堂の商品が広く販売されている状態となっています。
近年は、中国専用ブランドを展開するなど、中国での事業展開に力を入れています。資生堂の中国事業は1981年にスタートしました。最初は、中国のホテル内の店舗で販売が開始され、その後1991年に合弁会社の設立、1994年に現地生産による中国専用ブランド「AUPRES」の販売をデパートで開始しました。「AUPRES」は高級ブランドとしての認知度を高めていき、順調に売上を伸ばしていきます。
2010年度には、中国での売上は800億円台の規模まで成長しました。近年は美容院などサロン事業向けのビジネスや、薬局で販売するための専用ブランドの発売、現地のSNS・インフルエンサーを活用したマーケテイングを行い、中国での展開を加速しています。
この事例から学べること
• 市場に適した専用ブランドを展開する
→ 「AUPRES(欧珀莱)」のように、ターゲット国に特化したブランドを開発することで、高級ブランドとしての地位を確立し、市場での認知度を高める。
• 現地パートナーとの協業を活用する
→ 現地企業との合弁会社設立により、市場理解を深め、流通網や販売ネットワークを効率的に活用することで、スムーズな市場拡大が可能になる。
• デジタルマーケティングを活用してブランド認知を向上させる
→ SNS・インフルエンサー・ライブコマースを活用し、ターゲット層に響くプロモーションを展開することで、消費者の購買意欲を高める。
参照:https://corp.shiseido.com/jp/releimg/1931-j.pdf
日清食品
日清食品は、主力商品の「カップヌードル」を世界各国で販売しています。各地域・国ごとに販売戦略やブランドを立て、ローカライズして販売している点が特徴です。
たとえば、アメリカではカップヌードルのプレミアム群のシリーズが急速に売上を伸ばしており、プレミアム群のシリーズに注力していくことで、競争を勝ち抜いていく戦略をとっています。
また、ブラジルでは、カップ麺市場の開拓のために、ターゲットを若者に絞って、現地に根付いた味、若者向けの味など多彩な商品を断続的に投入しています。日本でのカップ麺販売のノウハウを活かして、店舗販売時のトップボードやレールPOPの設置も取り入れました。
各国の文化やターゲット層の特徴を踏まえた上で商品選別を行い、日本で成功実績のある販売ノウハウも組み込むことで、海外マーケティングにおけるシナジーを生み出してるといえるでしょう。
この事例から学べること
• 市場ごとに異なるブランディングを行う
→ アメリカ市場ではプレミアムカップヌードルに注力し、ブラジルでは若者向けフレーバーを開発するなど、各国の消費者ニーズに合わせたブランド戦略を採用する。
• 販促施策を工夫し、消費者の目に留まる仕掛けを作る
→ 店舗販売時にトップボードやレールPOPを設置し、視認性を高めることで、購買意欲を向上させる。
• ローカル市場の味覚や嗜好に合わせた商品開発を行う
→ 各国の食文化をリサーチし、現地の味に馴染むフレーバーを展開することで、現地市場への浸透をスムーズにする。
参照:https://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1310/03/news013.html
キッコーマン
醤油のトップメーカーであるキッコーマンは、1950年代から本格的に海外進出をスタートしました。来日した多くのアメリカ人が、醤油の味に親しんでいる様子を見て、「日本人がつくりあげてきた醤油には、世界に通用するおいしさがある」という確信を得て、キッコーマンの海外事業が始まります。
キッコーマンの海外マーケティングの戦略の鍵は、和食を持ち込まずに、いかに現地の食材や料理に醤油を使用してもらうかという部分でした。様々な料理に馴染む醤油の特徴を活かして、現地の食文化と融合することが大切であると考えたためです。
アメリカでの醤油の普及は、肉料理と醤油の相性が良いということをきっかけに、急速に進んでいきます。現地のスーパーマーケットで試食のデモンストレーションも積極的に行い、現地住民からの知名度を高めていきます。
その後、世界各国でキッコーマンは醤油の販売を展開していき、現在では醤油が世界100か国以上で愛用されています。また、キッコーマンの海外生産拠点は8つに上り、現地での醤油生産も活発に行われています。
この事例から学べること
• 和食の押し付けではなく、現地の食文化と融合する戦略を取る
→ 醤油を「和食の調味料」として売るのではなく、肉料理など現地の食文化と組み合わせることで、広範な市場に受け入れられる。
• 試食マーケティングで商品認知を拡大する
→ アメリカではスーパーマーケットで試食デモンストレーションを実施し、実際に味を体験してもらうことで、消費者の興味を引きつける。
• 現地生産を活用し、コスト削減と流通最適化を実現する
→ 世界8カ所の生産拠点を設置し、現地生産によるコスト削減と流通の最適化を図ることで、安定供給を実現する。
参照:https://www.kikkoman.com/jp/
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LIFEPEPPERは海外マーケティング1,000社の実績を元に、多くのノウハウを培い、幾多の成功事例を築き上げてきました。
御社のビジネスモデルに合わせて、綿密な戦略設計からマーケティング施策の遂行、結果をまとめたレポートまでサポートしています。
「自社製品の海外での認知を高めたい」「越境 EC を通じてより海外の売上を伸ばしたい」など、海外を新たなビジネスの拠点にと考えているビジネスオーナーさまは、ぜひLIFEPEPPERへご相談ください。
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おわりに
今回の記事では、海外向けマーケティングの手法や成功ポイントについて、マーケティング実施の手順や注意点なども踏まえながらご紹介しました。
海外市場と一口に言っても様々な国・地域が存在します。
そのため、まずは自社製品の特徴や強みを再確認し、それを元に顧客へ提供できる価値を考えてみましょう。
また、海外向けマーケティングには市場調査が最重要となります。
言語はもちろんのこと、文化や生活習慣など様々な面で日本と異なるということを念頭に、自社商品がターゲット顧客のどんなニーズを満たすことができるか検討しましょう。
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