目次

海外市場への展開を検討している企業にとって、「英語リスティング広告」は有力な集客手段のひとつです。しかし、言語・文化・検索習慣の違いにより、国内広告とはまったく異なる戦略が求められます。
この記事では、押さえておくべき英語リスティング広告の基礎から、成功に導くための運用ノウハウまでを徹底解説します。
英語リスティング広告の基礎知識と活用プラットフォーム

英語リスティング広告とは、検索エンジン上で英語圏ユーザーを対象に表示される広告を指します。
検索キーワードに応じて広告が表示される仕組みのため、購買意欲の高いユーザーに効率よくリーチすることができます。日本でも、Google広告やYahoo!の検索広告が代表的なリスティング広告として活用されています。
代表的なプラットフォームは以下のとおりです。
Google広告:世界シェア90%以上の検索エンジンで、最も高い集客効果を期待できます。(出典:StatCounter, 2024)
Microsoft広告(旧Bing広告):ビジネス層に強く、北米・欧州で根強い人気を誇ります。
Yahoo!広告(米国版):一部業種での活用に向いており、ローカル色の強いユーザー層を狙えます。
各媒体の特徴を理解し、広告予算やターゲットに合わせた適切な運用戦略が求められます。
英語圏マーケット別の検索習慣と成功事例

英語リスティング広告を成功させるためには、ターゲットとする国・地域ごとのユーザー特性を正確に把握し、それに即した戦略を立てることが重要です。
地域ごとのユーザー特性と傾向
北米(アメリカ・カナダ)
モバイル検索の利用率が高く、広告文は簡潔で明確な行動喚起(CTA)を含めることが有効です。特典や無料トライアルといった明確な訴求ポイントが高い成果につながる傾向があります。
ヨーロッパ(イギリス・ドイツなど)
GDPR(一般データ保護規則)などの影響から、個人情報の扱いや企業の透明性が重視されます。信頼性、実績、安心感を与える広告表現が求められます。
アジア(シンガポール・香港)
英語がビジネス言語として広く使われており、BtoB領域における広告効果が高い地域です。導入企業名や具体的な成果を提示することが有効です。
成功事例の紹介
事例①:SaaS企業の東南アジア向け広告最適化(シンガポール・マレーシア)
▶︎ 背景と課題:
日本国内ではある程度の成果を出していたSaaS企業が、東南アジア市場への拡大を図りましたが、当初の広告は「直訳」に近く、現地のユーザーには響かない内容でした。また、ランディングページ(LP)も日本的な表現が多く、英語圏のユーザーにとって分かりづらい構成となっていました。
▶︎ 施策内容:
- 広告文を英語ネイティブがライティングし、より自然な言い回し・現地に通じる表現へ変更。
- LPのデザイン・構成・見出し・CTA(行動喚起ボタン)を英語圏ユーザー向けに再構成。
- 地域ごとの検索キーワードを調査し、「マレーシア中小企業向け業務効率化ツール」など具体的なニーズに沿った広告を展開。
▶︎ 結果:
CPA(顧客獲得単価)は約40%削減し、月間の問い合わせ数は約2倍に増加。
このことから、言語だけでなく「文化」や「表現スタイル」もローカライズすることが、英語圏ユーザーの信頼と興味を引き出す鍵であると言えます。
事例②:製造業BtoB企業が英国市場へ新規展開
▶︎ 背景と課題:
日本で長年実績のある製造機器メーカーが、欧州市場とくにイギリスへの展開をスタート。しかし、汎用的な広告文と一般的なキーワードでは差別化が難しく、クリック率もコンバージョン率(CVR)も低迷していました。
▶︎ 施策内容:
- 業界特化型キーワード:「factory automation」「ISO certification」「CE対応機器」など、現地で検索されている技術系ワードを調査・採用。
- 広告文に導入実績(例:某ヨーロッパ大手工場)や品質保証情報を明示。
- LPに「現地法人によるサポート体制」「導入までの流れ」「導入事例紹介」など、信頼性の高いコンテンツを追加。
▶︎ 結果:
CTR(クリック率)+CVRの大幅改善により、成果率が2.3倍に上昇。
BtoB領域では、専門性の高いキーワードや導入実績の明示が、信頼感につながりやすく、CVRを高める要因になります。
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英語リスティング広告のメリットとリスク対策

次に、英語リスティング広告を実施するメリットと、考慮すべきリスクについてご紹介します。
主なメリット
グローバル認知の拡大
英語広告を活用することで、日本国内のみならず、世界中の潜在顧客にブランドを認知してもらうことが可能です。特に英語対応のウェブサイトを併用することで、リーチの幅が大きく広がります。
例えばGoogleのリスティング広告を利用する場合、Googleが提供するGoogle AdWords を活用すれば、日本にいながら素早く気軽に世界中のGoogle検索エンジンで広告運用が可能となります。
また広告配信に必要なアカウントは、どの国をターゲットにするとしても日本国内から開設可能であり、管理設定や専門サポートも日本語対応となっています。
またSEOが必要なマーケティング手法とは異なり、キーワードを設定して広告を入稿するだけですぐにユーザーの目に広告を触れさせることができます。
配信先の国をターゲティングするだけで、簡単に海外進出のきっかけが得られるのです。
広告配信方法は検索エンジンごとに異なりますが、インターネットが普及している国の多くは、日本と同様Googleをはじめとした大規模検索エンジンを利用しています。
ただし、中にはその国独自の検索エンジンを利用する国もあるため、ターゲット国のインターネット利用状況を調べた上で、リスティング広告を検討する必要があります。
検索意図に基づいた精度の高い集客
検索ユーザーのニーズに沿った広告表示が可能なため、高い成約率や問い合わせ率が期待できます。
リスティング広告はいくつかの異なる配信方法があり、自社への関心度が高い顕在層(見込み客)とそこまで関心の高くない潜在層、どちらにもアプローチすることができます。
配信方法には主に、「検索連動型広告」と「ディスプレイ広告」の2種類があります。
検索連動型広告は、ユーザーが検索したキーワードに応じて表示される広告で、既に興味を持ってくれている顕在層の獲得を目的として活用されます。
対して、ディスプレイ広告は検索キーワードを問わず広告を掲載するもので、潜在層へのアプローチがメインとなります。
ディスプレイ広告は関心度の低いユーザーも含めて、認知拡大に非常に結びつきやすい手法であると言えます。
このように、リスティング広告は配信方法によって、顕在層・潜在層のどちらにもアプローチが可能であり、ターゲット国のブランド認知も広げていくことができます。
想定されるリスクとその対策
言語と文化の壁
機械翻訳や直訳ではニュアンスが伝わらず、ユーザーに不信感を与える可能性があります。英語ネイティブによるライティングやローカライズの専門家の協力が重要です。
また、検索習慣も国によって全く異なることがあります。
例えば、日本語では「東京 観光」のようにスペースを加えながら単語を組み合わせて検索するところを、英語ではワードではなくフレーズで検索されることが多いです。
多くのリスティング広告は、キーワードごとに広告を出稿する仕組みになっているため、検索習慣を知らないままキーワードを選定すると、ターゲットユーザーに全く検索されない場合もあります。
検索習慣の把握や、競合他社の事例調査など、ターゲット国への理解を深めることが不可欠です。
CPC(クリック単価)の高騰
英語圏の広告市場は、世界中の企業が参入しているため、非常に競争が激しくなっています。よく使われるキーワードは多くの企業が入札しており、広告を1回クリックされるだけでも高額な費用が発生してしまうことがあります。これがいわゆる「クリック単価(Cost Per Click/CPC)の高騰」です。
このような場合、広告費を抑えながら効果を出すには、検索数は少なくても競合が少ない「ロングテールキーワード」を活用するのが有効です。
ロングテールキーワードとは、たとえば「美容」ではなく「乾燥肌 スキンケア 冬 おすすめ」や「美容液 敏感肌 プチプラ ランキング」のように、より具体的でニッチな検索語句のことを指します。
これらのキーワードは検索ボリュームは少ないものの、検索する人の目的がはっきりしているため、広告をクリックした後の「購入」や「問い合わせ」につながりやすいという特徴があります。
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広告作成の4ステップと成功のコツ

次に、広告作成を成功させるための4ステップについてご紹介します。
ターゲット設定と市場調査
広告の成功は、どのような顧客に向けて発信するかを明確にすることから始まります。海外市場では、日本と異なるニーズや価値観があるため、現地の文化や購買行動を理解したうえで、ターゲット像を具体化することが重要です。
現地の検索動向やトレンドをGoogle TrendsやSimilarWebなどで確認し、ニーズに合ったペルソナを設計しましょう。地域、言語、関心事などの細かい条件も設定することで、より精度の高いターゲティングが可能になります。
キーワード選定と広告文作成
次に重要なのが、検索ユーザーの意図を捉えたキーワード選定と、それに合わせた広告文の作成です。英語では単語のニュアンスや表現が日本語と異なるため、ネイティブ視点でのチェックも必要です。
Google Keyword Plannerなどを使って、競合性や検索ボリュームをもとに適切なキーワードを選定しましょう。また、広告文は短くても「価値」「差別化ポイント」「行動喚起」を盛り込むと効果的です。
ランディングページ(LP)の最適化
どれだけ広告がクリックされても、商品やサービスの魅力を伝えるLPの内容がユーザーの期待に応えていなければ、成果にはつながりません。LPの構成や導線、読みやすさなどにも注意が必要です。
英語圏では論理的で簡潔な構成が好まれます。商品の利点だけでなく、実績・証拠・レビューといった「信頼性」を示す要素も意識して配置しましょう。
LPも、広告文と同様に、言語や文化に即した設計が必要です。訴求ポイント、実績、明確な行動喚起を含めることが重要です。
予算設計と効果測定
広告配信後の分析と改善を繰り返すことで、費用対効果を高められます。複数の異なるパターンを表示させ効果を比べるA/Bテストや、Webページ上のユーザーの動きを視覚的に表現し改善点を把握するヒートマップ分析など、さまざまな手法を活用して、課題を特定し対策を講じることが重要です。
最初から完璧な広告を目指すのではなく、仮説検証を前提にした設計が成功のカギです。クリエイティブや文言の微調整でも、成果が大きく変わるケースもあります。
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効果的な運用とデータ活用戦略

広告は出して終わりではありません。どのくらい効果が出ているのかを定期的にチェックし、改善していくことが成功への近道です。特に海外向け広告では、時差や文化の違いをふまえた柔軟な対応が必要です。
効果を測る目標を決める
広告の成果をチェックするためには、事前に「何を成功とするか(目標)」を決めておく必要があります。よく使われるのは、「何人がクリックしたか」「どれだけ商品が売れたか」「問い合わせが何件あったか」などです。効果測定の指標を定期的にチェックすることで、課題改善のヒントが見つかります。
例えば米国でのソフトウェア広告のある事例では、多くの人が広告をクリックするも、その後に商品ページからすぐ離れてしまい、購入につながらないという課題がありました。
そこで広告の内容とその先の商品ページ内容の見せ方を一致させ、内容にずれがないように変更したところ、商品購入率が2.5倍に改善。このように、見た目の数字だけでなく、「その先の動き」をしっかり確認し改善することが大切です。
出典:WordStream「Landing Page Optimization Tips」
曜日・時間帯による違いに注目する
英語圏を含む海外向けの広告を運用する際には、「いつ」広告を出すかというタイミングも重要な要素です。
広告を見る人の行動は、曜日や時間帯によって変わります。たとえば、アメリカでは平日午前中にスマホで商品検索する人が多いというデータもあります。広告を出すタイミングを工夫することで、より多くの人に見てもらえるようになります。
広告のデータ画面を定期的にチェックし、よく反応がある時間帯に予算を集中させると、ムダなコストを減らせます。特に英語圏では、国ごとの時差や働き方の違いも考慮する必要があります。たとえばアメリカは国内でも東海岸と西海岸で3時間の時差があるため、全国対象の広告なら配信時間をずらして調整する工夫も有効です。
国ごとの違いにあわせた工夫
英語は世界共通語ではありますが、使い方やニュアンスは国によって大きく異なります。たとえば、同じ「英語」で広告を出す場合でも、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどでは、言い回し、表現、ユーモアの受け取り方、さらには色の好みや写真のテイストまで違ってくることがあります。
このような違いを意識せずに広告を一律で配信すると、現地のユーザーに違和感を与え、クリック率や購買意欲が下がってしまう可能性があります。そのため、地域ごとの文化や言葉の違いを理解し、それに合わせて広告の文言やデザイン、キャンペーンのタイミングを調整することが重要です。
ローカライズの例
購買行動や価値観の違い
アメリカでは「限定性」「今だけ!」といった緊急感を出すプロモーションが効果的な一方で、イギリスやオーストラリアでは「安心感」や「信頼性」を強調したほうが反応が良いケースもあります。
言葉の違い
例えば、「無料」を表現する際、アメリカでは「Free」が一般的ですが、イギリスでは「Complimentary」と言うこともあります。また、「休暇」を意味する「vacation(米)」と「holiday(英)」のように、基本的な単語にも差があります。
表現のスタイル
アメリカの広告はストレートで直接的な表現が好まれる傾向がありますが、イギリスではやや控えめで皮肉を交えた表現が好まれることもあります。
まとめ:英語リスティング広告で成果を出すために

英語リスティング広告は、戦略的に活用することでグローバル市場への効果的なアプローチが可能です。
- ネイティブによる言語対応と表現力の強化
- 地域ごとの文化や行動特性に合わせた広告戦略
- データに基づいた継続的な改善と最適化
これらの要素を踏まえてPDCAを回していくことで、成果につながる広告運用が実現します。
海外展開をお考えの方は、ぜひ英語での海外向けリスティング広告配信を検討してみてください。
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