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Shopifyで多言語対応を実現する方法|越境EC向けの手順と注意点

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目次

はじめに

Shopifyは、誰でも簡単にECサイトを開設できるプラットフォームで、国内外問わず広く利用されています。越境ECを成功させるためには、多言語対応が不可欠です。世界中のお客様が母国語でコンテンツを閲覧したいと感じるため、商品の詳細や配送ポリシー、マーケティングメッセージを現地語で提供することが重要です。

多言語対応を行うことで、海外のお客様にとっての利便性が向上し、売上の増加が期待できます。Shopifyでは、簡単に多言語対応を実現でき、最大20言語に対応したオンラインストアを作成できます。このような機能を活用することで、より多くの市場にアクセスし、越境ECをスムーズに展開することが可能です。

越境ECに挑戦する際は、多言語対応だけでなく、ストア開設時の戦略設計や注意点は「海外向けネットショップの始め方と注意点」でも詳しく解説しています。

 Shopifyで多言語対応する理由

グローバル展開には多言語対応が必須  

現代のEC市場では、グローバル展開がビジネス成功の鍵となっています。  越境ECにおいては、多言語対応はもはやオプションではなく必須機能です。  
世界175カ国以上で利用されているShopifyは、こうしたグローバルニーズに応えるため、標準で多言語化機能を搭載しています。

世界中の顧客にリーチできる  

Shopifyを使えば、英語圏だけでなく、スペイン語、中国語、フランス語など、多様な言語環境に対応したストア展開が可能です。 
顧客が自国語で商品情報やサポートを受けられることで、安心感・信頼感が向上し、購買率やリピート率のアップにつながります。

手軽に多言語サイトを構築できる  

Shopifyには、無料・有料問わず多言語対応テーマが豊富にそろっており、翻訳アプリも充実しています。  アプリを導入するだけで、複雑な翻訳作業やプログラミングなしに、簡単に多言語化が進められるのも大きな魅力です。

グローバル市場進出に最適なツール  

Shopifyの多言語対応機能は、国境を越えてビジネスを拡大したい企業にとって非常に有効な手段です。
グローバル市場への進出を目指すなら、Shopifyの多言語機能を積極的に活用することをおすすめします。

越境EC市場の成長を示す最新データ

世界の電子商取引(EC)市場は、2023年も引き続き拡大を続け、売上高は5兆8,211億ドルに達しました(前年比10.0%増)。この成長の主軸となっているのが中国と米国で、両国で世界シェアの約7割を占めています。

中国は、シーイン(SHEIN)やテム(Temu)などの越境ECプラットフォームが台頭し、世界中でユーザーを獲得しています。2023年の越境EC利用者数は5億7,300万人に上り、2017年から1.8倍に増加。2025年には6億人を超える見込みです。

米国企業アヴァララによれば、2023年の越境EC取引総額は1兆ドルを超える可能性が高いと推計されています。

国際的な視点で見ると、越境ECの最大の発信国は依然として中国であり、調査対象41カ国すべてで、中国からの購入が上位3位以内にランクインしました。30カ国では中国が最も選ばれた国でした。ブラジル(73%)やチリ(72%)では、越境ECで購入された商品の大多数が中国からのものでした。

一方で、こうした拡大の裏側では、中国発事業者に対する規制強化や国際的な摩擦といった課題も浮上しており、今後の越境EC市場は「分断と協調」の狭間で舵取りを迫られる局面を迎えつつあります。

参考:ジェトロ(日本貿易振興機構) 拡大するEC市場(世界) | 分断と協調-岐路に立つ国際ビジネス
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2024/0901/cc7d192f8b17e6b8.html

 Shopifyの多言語化のメリット

多言語対応で広がる市場に対して、適切なEC戦略を講じることも重要です。
越境ECで成果を上げるための具体的なポイントや開発会社の選び方は「越境EC成功の秘訣とは?」をご覧ください。

 世界中のユーザーに最適なショッピング体験を提供  

Shopifyを多言語化する最大のメリットは、世界中のユーザーにストレスのないショッピング体験を提供できることです。  言語の壁は大きなストレス要因となり、日本語のみのサイトでは、外国人ユーザーが購入に踏み切りづらくなります。  

Shopifyなら、ターゲット国や地域に応じて言語切り替えが可能なため、現地ユーザーにとって分かりやすい環境を整えることができます。

 言語だけでなく通貨の切り替えも可能  

Shopifyでは多言語化と同時に通貨の切り替えにも対応できます。  
たとえば、アメリカのユーザーにはドル、ヨーロッパではユーロ、日本では円といった形で、居住地に合わせた通貨表示が可能です。  

さらに、アプリによっては最新の為替レートに連動して価格調整もでき、為替変動リスクを最小限に抑えた販売が可能になります。

 国境を越えてビジネスを拡大できる  

多言語対応により、ビジネスは国境を越えて広がります。  
新しい市場へのアクセスだけでなく、異なる文化や価値観を持つ顧客層にもリーチできるため、売上増加やブランド認知拡大が期待できます。

 顧客満足度と信頼感を高める  

母国語でのサービス提供は、顧客満足度や信頼感を向上させる効果もあります。  Shopifyでの多言語化は、グローバル戦略を加速させるために不可欠な施策です。

Shopifyで多言語対応を実現する手順

ShopifyでECサイトを多言語対応することで、グローバルにビジネスを展開するチャンスが広がります。ここでは、言語の追加、多言語対応アプリの導入、テーマと翻訳機能の設定という3つのステップに分けて、具体的な手順を詳しく解説していきます。

言語の追加方法

まず、Shopify管理画面からストアに新しい言語を追加する作業を行います。管理画面左下の「設定」から「言語」を選択し、「言語を追加」ボタンをクリックします。ポップアップのプルダウンメニューから追加したい言語を選び、「追加」を押します。

言語が追加されると、初期状態では「非公開の言語」としてリストに表示されます。追加した言語の横にある「…」ボタンをクリックし、「公開」を選択すれば、その言語をストアで利用できるようになります。

この設定だけでは、まだユーザーが言語を自由に切り替えることはできません。次に、言語セレクターの設定を行い、ユーザーが簡単に切り替えできる環境を整えます。

多言語対応アプリの導入

言語の切り替え機能を整えたら、次は翻訳作業に取り掛かります。しかし、テーマがもともと対応している部分以外、たとえば商品説明やカスタムコンテンツは、追加しただけでは翻訳されません。そこで活用したいのが翻訳アプリです。

おすすめはShopify公式アプリの「Translate & Adapt」です。このアプリをインストールすることで、「自動翻訳」と「手動翻訳」の2種類の方法でコンテンツを翻訳できます。自動翻訳ではGoogle翻訳を利用し、サイト全体を一括で翻訳可能です。手動翻訳では、翻訳結果を自分で編集して、より自然な言い回しに調整できます。

例えば、「新作」という日本語表記が英語に切り替わらない場合、自動翻訳を使って「new work」に変換し、必要に応じて手動で「New Arrivals」に修正できます。こうしたアプリを活用することで、多言語化の精度を高め、訪問者にとって自然なショッピング体験を提供できるようになります。

テーマと翻訳機能の設定

多言語対応を完了させるためには、テーマ側の設定も重要です。まず、使用中のテーマが多言語対応しているか確認します。たとえば、Shopifyの無料テーマ「DAWN」などは、多言語切り替えに対応しています。

言語セレクターの設定方法もテーマによって異なりますが、一般的には「オンラインストア」→「テーマ」→「カスタマイズ」と進み、「フッター」エリアに「言語セレクターを有効にする」というオプションが用意されています。これにチェックを入れるだけで、ユーザーが言語を切り替えられるようになります。

使用中のテーマに言語セレクター機能がない場合は、Shopify公式の無料アプリ「Geolocation」を導入すると、簡単にセレクターを設置可能です。このアプリでは、ユーザーのブラウザ設定やIPアドレスをもとに、最適な言語版サイトへ自動誘導する機能も備わっています。

テーマカスタマイズ時に各パーツごとのテキスト設定が必要な場合もあります。たとえば、バナー、ボタン、フッターなど個別に翻訳を設定しておくことで、言語ごとの見栄えを整えることができます。翻訳アプリとテーマ設定を組み合わせることで、より完成度の高い多言語サイトを構築できるのです。

多言語対応に必要な追加設定

Shopifyで多言語対応を進める際には、単に言語を切り替えるだけでは不十分です。国際的な顧客に対してスムーズで安心な購入体験を提供するためには、「決済手段」「通貨と税金」「海外発送」といった追加設定も欠かせません。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

決済手段の設定

多言語対応を行う場合、ターゲットとなる国や地域ごとに適した決済手段を用意することが重要です。たとえば、アメリカ市場ではPayPalの利用率が高く、マレーシアではBoostやFPXといったローカル決済が主流です。  

顧客が普段使い慣れている決済手段を導入することで、購入のハードルを下げ、カゴ落ち(カート放棄)を防止することができます。Shopifyでは、各マーケットごとに決済手段を個別に設定できるので、ターゲット市場に合わせた柔軟な対応が可能です。導入前には、各国の人気決済サービスを事前にリサーチしておくことをおすすめします。

通貨と税金の設定

越境ECでは、訪問者が自国通貨で価格を確認できるようにすることが非常に重要です。現地通貨での表示がない場合、ユーザーは為替レートを調べる手間が発生し、購買意欲が低下してしまいます。  

Shopifyでは、マーケットごとに通貨を設定する機能や、現地通貨で価格を表示できるアプリ(例:LangShop、Transcyなど)を活用することで、ユーザー体験を大幅に向上できます。

国や地域ごとの税金ルールにも注意が必要です。EU圏ではVAT(付加価値税)の対応が求められるため、Shopifyの税金設定機能を活用して、マーケットごとに適切な税率を反映させましょう。正確な価格表示と税金設定は、トラブル防止と信頼獲得につながります。

海外発送の準備

海外発送を行うためには、マーケット設定と送料設定が欠かせません。Shopifyの「マーケット」機能を活用すれば、国や地域をグルーピングして、それぞれに適した送料や配送オプションを設定できます。たとえば、北米、アジア、ヨーロッパなど、エリアごとに分けて管理することが可能です。

配送方法は、EMS(国際スピード郵便)やDHL、FedExなどを利用するのが一般的ですが、それぞれ送料や配送期間に違いがあるため、事前に明記しておきましょう。関税や輸入規制についても、ポリシーページで案内しておくと、顧客の不安を和らげられます。  

海外発送対応をしっかり整備することで、世界中の顧客にも安心して購入してもらえるECサイトを目指しましょう。

越境ECを効率的に運用するには、発送体制と連携したサイト設計が鍵となります。
運用面も含めた越境EC成功のコツは「越境EC成功の秘訣とは?」にまとめられています。

多言語対応時のSEO対策

言語ごとに最適なSEO戦略を立てる  

多言語対応サイトを運営する際は、各言語ごとに適切なSEO対策を施すことが非常に重要です。  
言語によってユーザーの検索行動やキーワードの傾向は異なるため、単なる翻訳では十分な成果は得られません。  

それぞれの言語市場に合わせたキーワード戦略を立て、自然な文脈でコンテンツを作成することが求められます。

タイトルタグやメタディスクリプションも最適化  

SEO効果を最大化するためには、ページごとのタイトルタグやメタディスクリプションも、各言語別に最適化しましょう。 
また、言語別に独立したサイト構造を持たせることも重要です。

自動翻訳ツールの利用には注意が必要  

近年では多言語化ツールや自動翻訳機能の活用が増えていますが、SEOの観点では注意が必要です。
自動翻訳によるコンテンツは、正確性や自然さに欠けることが多く、検索エンジンからの評価が下がるリスクがあります。  

さらに、ツールによっては翻訳ページが正しくインデックスされないこともあるため、注意が必要です。

質の高い翻訳コンテンツを作成する  

SEOを重視するなら、プロの翻訳家やSEO専門業者に依頼して、質の高いコンテンツ作成を目指すことをおすすめします。  
多言語対応は、単なる翻訳作業ではなく、各市場に向けた本格的な戦略として取り組むべきです。

おすすめのShopify多言語化アプリ

Shopifyストアを多言語対応させる際におすすめのアプリを紹介します。

Langify

定番なのがLangify。ページ翻訳だけでなく、通貨切り替えや言語セレクター、母国語推奨ポップアップ機能も搭載されています。月額17.5ドルとやや高めで、日本語設定は非対応ですが、7日間の無料トライアルがあります。

LangSho

AIによる自動翻訳が特徴で、最大20言語まで翻訳可能です。通貨切り替えや日本語設定にも対応しており、無料プランもあります。5言語なら月額34ドル、20言語なら68ドルです。

Interlingue

Interlingueは日本企業が開発したアプリで、日本語サポートがあり安心です。大量商品でも翻訳表示が速く、月額7ドルと低価格。手動翻訳にも対応しています。

Weglot

導入実績が豊富で、100以上の言語対応、SEO対策も万全です。無料プランもあり、スタートしやすいアプリです。

自社のニーズに合わせて最適なアプリを選び、多言語対応をスムーズに進めましょう!

 Shopifyで多言語対応を行う際の注意点

サイト内検索機能の制限に注意  

Shopifyで多言語対応を行う際、まず注意すべきはサイト内検索機能です。  
デフォルト言語(例:日本語)では問題なく動作していても、他言語では自動翻訳の精度により、検索結果が意図通りにならないことがあります。  

言語によっては検索機能自体がサポートされていない場合もあるため、価格やサイズでの絞り込み検索の導入も検討することをおすすめします。

言語ごとのSEO対策が必須  

次に重要なのが、言語ごとのSEO対策です。  
自動翻訳に頼るだけでは、検索エンジンに正しくインデックスされなかったり、文脈が不自然になって検索順位が低下するリスクがあります。  

適切なSEO対策を行うため、必要に応じてプロの翻訳者やSEO専門業者への依頼も視野に入れることをおすすめします。

多言語対応アプリの選定は慎重に  

最後に、多言語対応に使用するアプリ選びも重要なポイントです。  
アプリによって機能や翻訳精度に差があるため、自社の目的や運営方針に合ったものを選定することが、多言語対応成功の鍵となります。

よくある質問(FAQ)

多言語対応は本当に売上に効果がありますか?

はい。Shopifyの公式データでも、平均して売上が増加していることが示されています。文化・習慣に沿った翻訳は、リピート率やブランド信頼の向上にもつながります。

翻訳は自動でやっても大丈夫ですか?

基本的には、自動翻訳+手動編集の組み合わせがおすすめです。機械翻訳のみでは文化的なニュアンスが伝わりづらいため、重要なページは必ず人の手で調整しましょう。

無料で始めるにはどうすればいい?

Shopifyの「Translate & Adapt」やGTranslateなど、無料プランのあるアプリを活用すれば、コストをかけずに始められます。

テーマを変更すると、今のサイトが壊れたりしませんか?

テーマ変更時には、事前バックアップが必須です。カスタマイズやアプリ連携に影響する可能性があるため、慎重に進めるか、開発パートナーに相談しましょう。

まとめ

Shopifyは越境ECにおいて必須となる多言語対応を簡単に実現できるプラットフォームです。多言語化により、世界中の顧客に母国語で商品情報やサポートを提供でき、信頼感や購買意欲を高めることが可能です。言語と通貨をユーザーに合わせて切り替えられるため、現地市場への適応力も向上します。

多言語対応は、言語追加、翻訳アプリの導入、テーマ設定の3ステップで行い、「Translate & Adapt」などのアプリを活用することで、自然な翻訳が実現できます。適切な決済手段や通貨設定、海外発送体制の整備も重要です。これらを組み合わせることで、Shopifyを活用したスムーズな越境EC展開が可能になります。

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