中国版TikTok『抖音』とは？特徴・導入方法・企業の成功事例を解説

近年、中国の動画市場において圧倒的な存在感を誇るのが「TikTok（抖音／Douyin）」です。特に10代から30代の若年層を中心に支持されており、アクティブユーザー数は1.5億人を超えると言われています。こうした背景から、企業にとってTikTokは中国市場へのプロモーションを行う上で欠かせないマーケティングツールとなっています。

本記事では、中国版TikTok（抖音）の特徴や日本版との違い、具体的なアプリの導入方法、そして企業による活用事例まで、マーケティング戦略に役立つ情報を幅広くご紹介します。

中国版のTikTok 「抖音(ドウイン）」とは

近年、中国のショート動画市場で圧倒的な存在感を示しているのが中国版TikTok「抖音（ドウイン）」です。

ByteDance社が開発したこのプラットフォームは、2024年時点でデイリーアクティブユーザー数が約7億人を超え、​、中国国内で最も利用されているアプリの一つとなっています。

中国版TikTok「抖音」は、15秒から60秒のショート動画を中心に、音楽、ダンス、コメディ、美容、ファッションなど多彩なジャンルのコンテンツを提供しており、特に10代から30代の若年層に人気があります。​また、ライブコマースやEC機能の統合により、企業にとっても重要なマーケティングチャネルとなっています。​

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中国版と日本版TikTokの違い

中国版TikTok（抖音）の特徴と強み

中国市場をターゲットにする企業は、抖音特有の機能や利用文化を深く理解し、現地ユーザーの行動様式に即した戦略を立てることが重要です。それではまず、中国版TikTok（抖音）の特徴と強みを3つのポイントから見ていきましょう。

ライブ配信＋ギフティング＆Eコマース連携

中国版TikTok（抖音）では、ライブ配信が単なる交流手段ではなく、販売チャネルとして確立しています。

配信中に商品リンクを表示し、その場で視聴者が購入できる「ライブコマース」が普及しており、視聴者からの投げ銭（ギフティング）機能も充実しています。多くのKOL（Key Opinion Leader）がこの機能を使って高い収益を上げているのも特徴的です。

これは、中国国内の「即時性」「双方向性」を重視するユーザー傾向にマッチしており、短時間での購買決定を促進する仕組みが整っています。

EC機能との統合で購買までがスムーズ

中国版TikTok（抖音）は、アプリ内での商品検索・閲覧・購入までがワンストップで完結します。

たとえば、淘宝（タオバオ）や京東（JD.com）など主要ECモールとのAPI連携により、商品情報や価格をリアルタイムで反映しながらシームレスに購買ができます。

ブランド公式アカウントが店舗ページを構え、キャンペーンや限定販売なども展開可能な点も中国版TikTok（抖音）の特徴です。

位置情報連携による店舗集客

TikTok（抖音）では、投稿動画に位置情報（ロケーションタグ）を付けられるため、ユーザーが観光地・カフェ・ショップなどの情報を簡単に共有できます。

この機能は、特にオフライン集客を強化したい地域企業や飲食店にとって有効で、“地元のおすすめ”を動画で訴求するローカルマーケティングにも活用されています。

日本版TikTok（グローバル版）の制約と方向性

日本を含むグローバル版TikTokは、基本的に「動画投稿＋視聴」に機能が限定されており、ライブ配信は可能でも商用利用の自由度が制限されています。

また、EC機能や直接購入リンクなどの実装も進んでおらず、ユーザーを外部サイトに誘導する形式が一般的です。

現時点では、**広告プラットフォーム（TikTok For Business）**を活用し、ブランド認知・トラフィック誘導・コンバージョン最適化を図るのがメインとなります。

中国版TikTok（抖音）のダウンロード方法

iOSの場合

中国版TikTokは、日ごろ日本でアプリをダウンロードするのと同じ方法では使えず、最初に中国のApple IDを取得する必要があります。手順は以下の通りです。

①Apple IDの設定を開き「Apple IDを表示」を選択
②「国または地域名」から「国または地域を変更」を選択
③「中国本土」を押し「同意する」を選択
④Appleメディアサービス利用規約に「同意する」を選択
⑤「无」を選択後、各項目を入力する（適当な数字と地域を選択する）
⑥AppStoreから「抖音」をダウンロード

①Apple IDの設定を開き「Apple IDを表示」を選択

②「国または地域名」から「国または地域を変更」を選択

③「中国本土」を押し「同意する」を選択

④Appleメディアサービス利用規約に「同意する」を選択

⑤「无」を選択後、各項目を入力する（適当な数字と地域を選択する）

⑥AppStoreから「抖音」をダウンロード

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Androidの場合

中国ではGoogleのサービスが遮断されているため、Google Playストアには中国版TikTokがありません。代わりに中国最大手の検索エンジン「Baidu」のアプリストアを使用します。

Androidで中国版TikTokダウンロードする方法手順は次の通りです。

①Baiduアプリストアの抖音のページを開き「安全下載」を押す
②警告メッセージが表示されるが「OK」を押す
③「Baiduアシスタント」のインストールをする
④インストール後、抖音がダウンロードされる
⑤最後にインストールの許可を求められるので「設定」を押す

中国版TikTok抖音の登録方法【企業】

ここでは、企業が中国版TikTokに登録する際の手順について解説します。3つのステップで解説しますので、それぞれ確認していきましょう。

アプリを開き、会社認証の画面へ移動する

中国版TikTok 「抖音(ドウイン）」をインストール後アプリを開き、右上にある横線が三つ並んだボタンをタップし、メニューを表示します。

次に、メニューの右下に表示される「設置」をタップしてください。

設定画面が開けたら、一番上に表示されている「账号与安全（日本語訳：アカウントと安全）」をタップし、次の画面に進みます。

会社確認の画面より、必要書類をアップロードする

その後、「申请官方认证（日本語訳：公式認証の申請）」から「极速审核（日本語訳：高速承認）」をタップし、会社確認の画面に移ってください。

会社確認の画面を開けたら、以下の必要書類をアップロードします。

• 营业执照（日本語訳：営業許可証）：中国に登記した会社の営業許可証
• 企业认证公函（日本語訳：企業認証公文書）：企業認証を申請するための文書

企业认证公函（企業認証公文書）については、画面からフォーマットがダウンロード可能です。ダウンロードしたフォーマットをワードで編集後に印刷し、社印を押印して電子文書化しましょう。

書類をアップロードできたら、下にある赤いボタン「开始认证（日本語訳：認証開始）」をタップして申請してください。

承認される（多くの場合2日以内に完了）

書類を提出したあと、「审核中（日本語訳：審査中）」という文字が表示されたら、審査中となります。

審査は約2日以内に完了するため、審査完了後に認証結果を確認してください。

中国版TikTokの審査を通過できれば、企業としてアプリを利用できるようになります。

中国版TikTok活用の一例

ここからは、企業の中国版TikTok活用法を3つ解説します。

動画プロモーション

1つ目は動画プロモーションです。動画を投稿すると、商材の認知度を上げたり購買へつなげたりすることが可能です。

Adidas neoやLenovoといった海外の大手企業が、ブランドイメージを高めるための動画を投稿しているほか、日本企業だと大丸松坂屋百貨店の公式アカウント開設が界隈で話題になりました。

本格的に活用する日本企業はまだまだ多くありませんが、動画投稿はショートムービーアプリの中心的な機能ですから、今後は活用例が増えていくでしょう。

広告

次は広告です。出稿料はかかりますが、ユーザーへアプローチしやすい施策として人気です。中国版TikTokの広告には、以下の3つの種類があります。

・起動画面広告
その名の通り、TikTokを起動した時に流れる広告

・インフィード広告
タイムライン上に、コンテンツと同じように表示される広告。クリックされると、5〜15秒ほどの動画広告が全画面で流れる

・ハッシュタグチャレンジ広告
動画ネタになるハッシュタグを企業が広告として拡散し、そのハッシュタグにまつわる動画をユーザーに作ってもらい、さらに視聴もしてもらう手法。ユーザー参加型ということでキャンペーンが盛り上がりやすく、記憶もされやすい。

KOLプロモーション

KOLと呼ばれる、専門的な知識を持ったインフルエンサーを起用してのプロモーションは、中国版TikTokで非常に有効です。

メディアが政府の管轄下にある中国では、SNS上で活動する情報発信者の意見が重視される傾向にあり、一般消費者の購買にも影響を与えています。

例えば、メイク動画をメインに投稿する「杏仁眼Miu」というKOL。彼女は20万人以上のフォロワーを抱え、美容に興味のある人々の間で強い影響力を持っています。こういう人物に、自社の商材を紹介してもらうわけですね。

関連リンク：中国のインフルエンサーとKOLの違いは？起用するメリットや選ぶポイントも解説 – (株)LIFE PEPPER｜1000社の海外デジタルマーケティング支援

中国版TikTok(抖音)を活用した企業の成功事例

P&G（プロクター・アンド・ギャンブル）

目的： 中国市場におけるブランド再構築とオンラインシェア拡大
戦略： インフルエンサー（KOL）を起用し、動画で商品ストーリーを訴求

P&Gは、かつて中国市場での売上低迷が課題となっていました。そこで打ち出したのが「中国版TikTok(抖音)を活用したリブランディング戦略」です。特にPantene（パンテーン）やSK-IIなどのビューティーブランドにフォーカスし、KOL（Key Opinion Leader）を活用した動画プロモーションを展開しました。

たとえば、「#髪の悩みチャレンジ」など、ユーザー参加型のUGC（ユーザー生成コンテンツ）キャンペーンを仕掛けたことで、ブランド認知度と信頼感を回復し、若年層女性を中心に再評価されるきっかけを作りました。

また、中国の主要ECセール（ダブルイレブンなど）に合わせたタイミング戦略も有効でした。

参考：Procter & Gamble doubles down on China’s TikTok to reverse sales slump

金属破砕設備メーカー（工業系BtoB企業）

目的： リード獲得および製品理解の促進
戦略： 製品の動作動画を抖音に掲載し、視覚的理解を促進

製造業という一見SNSと親和性の低い分野でも、中国版TikTok(抖音)をうまく活用した事例があります。この金属破砕設備メーカーは、抖音上で「製品の仕組み」「実際の稼働映像」「導入事例」をテンポよく動画で紹介しました。

ショート動画で設備のパワフルさ・性能の高さを”百聞は一見に如かず”の形で訴求したことが、多くの中小企業や代理店からの関心を集め、1か月で300件以上の問い合わせを獲得。さらに、CPA（顧客獲得単価）をわずか4ドル以下に抑える**という驚異的な成果を上げました。

これは「情報量より視覚的インパクト」が求められる中国SNSユーザーの傾向にマッチしていた点も成功要因のひとつです。

中国版TikTokを運営する際の注意点

コピーコンテンツの配信

中国版TikTok（douyin）では、他の人のコンテンツを使用したり、模倣したりすることを認めていません。

ユーザーには質が高い独自性のあるコンテンツを求めているため、オリジナルの動画を投稿していきましょう。

キーワード違反

アカウントで設定する、ニックネーム・プロフィール写真・自己紹介・コメント・タイトルや説明などには、審査が入ります。

広告を匂わせるキーワードを入れるとアカウントのグレードダウンに繋がる可能性があるため、注意が必要です。

透かしが入っているコンテンツの配信

コンテンツに透かし素材（他のアプリのロゴやリンク）が入っている場合も、グレードダウンになる恐れがあります。

また、タイトルや字幕における時間が長い場合もアカウント権限の制限対象となるため注意しましょう。

他メディアの広告・転用

ユーザーを他メディアに流すような広告を出稿したり、そのような使い方をすることは避けるべきといえます。

中国版TikTok（douyin）からすると、他のアプリやメディアへユーザーが流れることは好ましくありません。

機能を制限した使用

アプリのライブ機能やストアを有効にしている場合、他メディアにユーザーを流そうとする行為も止めておきましょう。

プライベートメッセージなどを使って上記を行うと、アカウントのメッセージ機能が制限されてしまう可能性があるため注意してください。

ネガティブなコンテンツ

ネガティブなコンテンツを配信すると、アカウントの機能制限やグレードダウンに繋がる可能性があります。

中国版TikTok（douyin）は「すてきな毎日を記録する（記録美好生活）」であるため、多くの人が楽しめる発信を心がけましょう。

中国版TikTok(抖音)の課題

ここでは、中国TikTokの課題について紹介します。3つのポイントを確認し、上手く活用していきましょう。

日本のAppleIDでインストールできない

中国版のTikTokである「抖音(ドウイン）」は、日本のAppleIDを使用している場合、直接インストールすることはできません。これは、抖音が中国国内の利用に特化しているためです。

中国では、インターネット規制やコンテンツの違いが存在し、一部のアプリケーションは地域制限がかかっています。

そのため、中国版のTikTokである抖音を利用するためには、上記で解説したように、中国のApp Storeにアクセスできるように設定する必要があります。

中国人ユーザーに合わせたコンテンツが多い

中国版TikTok「抖音」は中国市場を主なターゲットとしており、中国の文化やトレンドに合わせたコンテンツが多く存在します。そのため、日本のユーザーにとっては馴染みのないコンテンツが多い場合があります。

一方で、日本のTikTok（グローバル版）は世界中のユーザーに向けて開発されており、より幅広いコンテンツが提供されています。グローバルなトレンドや多様な文化を反映させたコンテンツが豊富にあり、さまざまな国や地域のユーザーにアピールできます。

もし中国に限らず複数の国にアプローチしたい場合は、「抖音」が必ずしも最適な選択とは言えません。代わりに日本のTikTok（グローバル版）を活用することで、より幅広いユーザー層に対して適切なコンテンツを提供できるでしょう。

規制が厳しい

中国版TikTok(抖音)は、中国政府による厳しいコンテンツ規制の影響を受けています。政治的、宗教的、文化的な内容を含むコンテンツは禁止されており、政府によってコンテンツの検閲が行われています。

中国版TikTok(抖音)は中国の法律や規制に合わせて運営されており、中国国内のみで利用可能です。そのため、特に中国市場をターゲットにする場合は、政府の規制に十分な注意を払う必要があります。

また、中国版TikTok(抖音)では広告表示に関する細かな設定が制限されており、広告配信の方法が限られる点に注意しなければなりません。

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• 中国語WEBサイト制作　など

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中国版TikTokをマーケティングに活用しよう

中国版TikTok「抖音」は、豊富な機能と広範なユーザーベースを持つ強力なマーケティングツールです。​企業は、ライブ配信やEC機能を活用することで、ブランド認知度の向上や売上拡大を図ることが可能です。​ただし、運用にあたっては、現地の規制や文化を理解し、適切なコンテンツ戦略を立てることが重要です。​

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