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タイ インバウンド完全ガイド|訪日タイ人観光客を惹きつける最新戦略と成功事例

訪日インバウンド
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タイ インバウンド市場が注目される理由とは?

訪日観光客の回復とタイ人観光客の増加

日本の観光業はコロナ禍からの回復途上にあり、訪日観光客数が着実に増えてきています。特に注目されているのがタイからの観光客です。
日本からほど近い距離にあり、アクセスの良いタイ市場からの観光客は年々増加傾向にあります。タイの中流層が拡大していることや、航空便の増便により、今後もタイから日本への観光需要は伸びていくでしょう。

タイ人観光客の特徴として、日本の文化や食、ショッピングに強い関心を持っており、一度訪れると再び日本を訪れるリピーター率が高いことがあげられます。タイ政府による観光促進策や観光ビザの緩和も、こうした流れを後押ししています。

このような背景から、タイは訪日観光において重要なターゲット市場となっているのです。

タイ市場が他の国と異なる3つの特徴

タイ市場には他国とは違った独自の特徴があります。これらを理解することが効果的なインバウンド戦略の鍵となります。

1. 食文化への強い関心

タイ人観光客は日本の食文化にとても興味を示します。寿司やラーメン、日本のスイーツなどが人気で、タイ国内でも日本の食材や調味料の需要が高まっています。日本での食事体験は彼らの旅行における大きな魅力のひとつなので、レストランや食材店などのターゲティングが効果的です。

2. ショッピング志向の強さ

日本でのショッピングはタイ人観光客にとって大きな楽しみです。ファッションアイテムや電化製品、化粧品などが特に人気で、東京や大阪の繁華街での買い物は旅の目玉になることも多いです。彼らは日本での買い物に対して積極的にお金を使う傾向があり、アウトレットモールや免税店も非常に人気があります。

3. SNSの活発な利用

タイではSNSの利用率が非常に高く、Facebook、Instagram、TikTokなどが広く使われています。旅行中もこうしたSNSを使って、その場で写真や動画を共有するのが一般的です。インフルエンサーやKOL(有力な意見発信者)の影響力も強く、SNSで見つけた日本の観光スポットやサービスに魅力を感じて訪れることも多いため、SNSを活用したマーケティング戦略が効果的です。

タイ市場の訪日状況とインバウンド消費の現状

訪日タイ人の数は?

2025年3月に日本を訪れたタイ人の数は148,200人で、前年同月(2024年3月)の131,749人と比べて12.5%増加しました。この数値は、3月として過去最高を記録しています。

この増加の背景には以下のような要因があります。

日本人気の継続
日本は引き続きタイ人にとって人気の旅行先であり、その傾向が続いています。


航空便の増加
バンコク〜成田間の定期便の増便、バンコク〜高松間のチャーター便の運航などにより、航空座席数が増加しました。

査証免除措置による訪中旅行の人気
一部では中国への渡航人気も見られましたが、日本の魅力や利便性の高さが訪日選択の後押しになったと考えられます。

このように、日本への旅行需要はタイ市場でも高まっており、桜シーズンのタイミングとも相まって、訪日数は堅調に伸びていることが分かります。

参考 :日本政府観光局(JNTO) 訪日外客統計 訪日外客数(2025年2月推計値)
https://www.jnto.go.jp/news/_files/20250319_1615.pdf

インバウンド消費額推移:タイ市場全体の規模は?

2025年1〜3月期における訪日タイ人旅行者のインバウンド消費額は748億円と推計されています。この金額は、全体の訪日外国人消費額(2兆2,720億円)の約3.3%を占めており、国別では7番目に大きな市場規模となっています。

また、タイ人の1人当たり旅行支出額は207,073円で、前年同期比+16.8%の増加となりました。これにより、タイ市場は金額・支出ともに堅調に成長していることが読み取れます。

支出内訳(2025年1〜3月期)
宿泊費:61,464円
飲食費:49,826円
交通費:22,178円
娯楽・サービス費:8,280円
買物代:65,325円

このデータから、タイ人観光客は「買い物」と「宿泊」に多くの費用をかけていることが分かり、日本での消費意欲が高い層であることが伺えます。

なお、タイ市場は2024年同時期の574億円から約30.5%増加しており、今後のインバウンド戦略においても引き続き注目されるべき市場と言えるでしょう。

参考:
国土交通省 インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001856169.pdf

情報収集メディアとSNSを活用したプロモーション戦略

タイの主要情報源とSNSプラットフォーム

タイのSNSは、観光地の認知度向上において重要な役割を果たします。
「Facebook」や「Instagram」は、タイの若年層を中心に広く使用されていますが、情報収集の中心となるのは、タイ語のWebメディアです。

例えば、「Pantip」や「Sanook」などのローカルサイトは、多くのタイ人が利用している情報源です。
訪日観光に特化した「Cill Cill Japan」や「Krobkrueng Japan」なども人気があります。

これらのメディアとSNSを活用することで、タイ人観光客へのターゲットを効果的に絞ることができます。

タイでは旅行博覧会が盛況に開催されており、「タイ国際旅行フェア」などがその代表例です。
ここでは、毎年多くの個人旅行者が自分に最適な旅行商品を見つけようと比較検討します。

このようなイベントにも注目し、プロモーションを展開することで、インバウンド集客をさらに強化できます。

ローカルWebメディアとインフルエンサー活用法

タイのインフルエンサーを活用したプロモーションも有効です。

人気のインフルエンサーがSNSで投稿した旅行体験は、広範囲な影響力を持ち、視覚的な魅力が大きい日本の風景や文化を紹介することが可能です。インフルエンサーに日本の魅力を紹介してもらうことで、タイ人観光客の関心を引き、訪日を促進できます。

SNS上でのシェアや口コミも集客効果を高める手段となります。

併せて、各国でのSNS利用状況最新版もご覧ください。

タイの大型連休と訪日ピークに合わせたタイミング戦略

訪日タイ人観光客の訪問ピーク

タイからの訪日観光客数は、特定の時期にピークを迎えます。データによると、訪日タイ人は3月~4月、10月~12月に増加する傾向があります。タイの「ソンクラーン」や日本の桜シーズンが重なる4月は大きな集客チャンスです。
タイ人観光客は、桜を楽しみつつ、日本文化を体験することを目的に訪れます。10月のタイの長期休暇や12月の雪景色を求めて、日本を訪れる観光客も増加します。

祝日・連休を活用したプロモーション戦略

タイの祝日や連休を狙ったプロモーションは、高い集客効果を発揮します。ソンクラーンや年末年始のタイの大型連休に合わせた特別プランやキャンペーンを打ち出すことが有効です。
例えば、タイ語で特別割引や特典を発信することで、訪日観光客数を増加させることができます。

旅行の計画は通常、訪問予定の3ヶ月前から始まるため、このタイミングに合わせたプロモーションを行うことが重要です。

成功事例に学ぶ外国人観光客を惹きつけるインバウンド戦略

外国人観光客を魅了するインバウンド戦略で成果を上げている事例をご紹介します。企業や自治体がどのような工夫で観光客の心をつかんでいるのか、そのポイントに迫ります。

1. 企業の成功事例

ドン・キホーテの「YOKOSO! JAPAN PASS」

ドン・キホーテが展開する訪日外国人向けの割引カード「YOKOSO! JAPAN PASS」は、観光客の購買データを活用して人気商品やニーズを把握し、品揃えや売場構成に反映しています。利便性と楽しさを兼ね備えたショッピング体験を提供しています。

マツモトキヨシの免税対応と無料WiFi

訪日観光客に人気のドラッグストア、マツモトキヨシでは、多言語対応の接客と免税手続き、主要な国際ブランドのクレジットカードへの対応、全店舗での無料WiFi提供により、快適でスムーズな買い物環境を整えています。

ABOUT LIFE COFFEE BREWERSのInstagram活用

渋谷の人気コーヒースタンド「ABOUT LIFE COFFEE BREWERS」では、SNSを活用した情報発信に力を入れています。英語を中心に、海外のフォロワーにも伝わりやすい投稿を継続することで、訪日観光客の来店につなげています。

ABOUT LIFE COFFEE BREWERSのInstagram
URL:https://www.instagram.com/p/Brl7GZdFeRz/?utm_source=ig_web_copy_link

2.自治体の成功事例

岐阜県高山市:官民一体で本気のインバウンド戦略

岐阜県高山市は「飛騨の小京都」とも呼ばれる歴史ある町で、早くからインバウンド対策に取り組んできた自治体です。周辺地域との連携や多言語PR、無料WiFiの整備など、外国人旅行者の視点に立った施策を官民で実施しました。
その結果、人口約9万人に対し年間46万人以上の外国人宿泊客を受け入れる、日本有数の観光都市へと成長しました。

主な取り組み

  • JRやバス会社と連携し、周辺地域を含む広域観光ルートを構築
  • 多言語対応のMAPやパンフレット、短編PR動画を制作し海外発信
  • 無料WiFiを整備し、観光情報や災害情報も提供
  • レストランの“おもてなし”が高評価を獲得し、訪日客の口コミで人気拡大

香川県:アートと食でアジア層を惹きつける地方都市

香川県は「うどん県」キャンペーンや「瀬戸内国際芸術祭」を通じて、地方の個性を打ち出した観光戦略を展開しました。アジア圏からの観光客が多く、6割以上がリピーターという特徴を持ちます。観光と食、アートを掛け合わせた発信力の強さが、インバウンド成功の鍵となりました。

主な取り組み

  • 台湾を中心にアジアからのリピーターを多数獲得
  • 瀬戸内海の島々を巡る現代アートイベント「瀬戸内国際芸術祭」の開催
  • 「うどん県」キャンペーンで地元食文化を多言語でPR
  • YouTubeや多言語サイトを活用した分かりやすい情報発信

佐賀県:映画とドラマを活用した「タイ特化型」戦略で急浮上

観光地としての認知度が低かった佐賀県は、タイ映画「タイムライン」のロケ地誘致をきっかけに、タイ人観光客からの注目を集めました。その後もタイでのドラマ制作や現地プロモーションを積極的に行い、数年でタイからの観光客が急増。“聖地巡礼”を核にしたユニークな戦略が功を奏しました。

主な取り組み

  • タイ映画やドラマのロケ誘致で「聖地巡礼」ブームを創出
  • タイ国民的俳優を起用したドラマを現地制作し認知度アップ
  • ロケ地紹介冊子や現地イベントで継続的なプロモーション
  • NHKワールドTVによる国際放送でブランド力強化

このように、各自治体はそれぞれの強みを活かし、外国人観光客のニーズに合わせた独自の施策を展開することで、インバウンド誘致に成功しています。成功の鍵は「地域の特性を明確に打ち出すこと」と「継続的かつ多言語対応の情報発信」にあります。

さらに詳しくインバウンド観光について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

3. 共通点と成功の秘訣

これらの事例に共通するのは、訪日外国人の視点に立った「体験の質の向上」です。多言語対応や多様な決済手段の導入、WiFi整備などのインフラ環境を整えるだけでなく、SNSや口コミを意識した情報発信も重視。現地での体験が快適かつ印象的になるよう工夫されています。

外国人観光客を惹きつけるには、単なる設備や制度の整備にとどまらず、「何を魅力と感じるのか」「どのように伝えるのか」を意識し、文化・感性に寄り添ったアプローチが必要です。

【FAQ】タイ インバウンド施策に関するよくある質問

タイ人観光客の主要な旅行目的は何ですか?

買い物と観光が中心。ブランド品や医薬品、人気飲食店、温泉、着物体験などが人気。近年は体験型観光や穴場スポットにも関心が高まっています。

タイ語のWebサイト対応はどの程度重要ですか?

非常に重要。母国語での案内が安心感につながり、予約数アップにも直結します。機械翻訳ではなく、ネイティブによる自然な翻訳が必須です。

SNSでの訴求はどのプラットフォームが効果的ですか?

Facebook(30代以上)、Instagram(20〜30代)、TikTok(若年層)が主流。ビジュアルや短尺動画、現地インフルエンサー活用が効果的です。

キャッシュレス決済の対応は必要ですか?

必須です。タイではQR決済が浸透しており、対応することで利便性と購買意欲が向上。タイ語での案内表示も効果的です。

タイ市場特有の文化や習慣に配慮すべき点はありますか?

宗教(仏教・イスラム教)、王室への敬意、面子を重んじる文化などに配慮を。料理の辛さ調整や頭に触れないマナーも大切です。

まとめ|タイ インバウンドは今がチャンス。成功には文化理解とSNS戦略がカギ

タイ市場はこれから日本のインバウンド業界で大きな存在感を示すことになるでしょう。

訪日するタイ人観光客の特徴として、買い物好きで体験型の観光に興味を持つ傾向があります。彼らの需要を満たすためには、タイの文化や宗教的背景への理解が欠かせません。
また、タイ語での案内表示やキャッシュレス決済の導入など、タイ人が快適に過ごせる環境づくりが重要になってきます。

マーケティングではSNSの活用が必須です。FacebookやInstagram、TikTokなどタイ人に人気のプラットフォームを通じて効果的に情報発信することで、より多くの観光客を引き寄せることができます。
特にインフルエンサーとの協力はタイ市場での知名度向上に役立ちます。タイ語での情報発信や現地の文化に合わせたコンテンツ作りが集客の鍵となります。

現在はタイからのインバウンド需要が高まっている絶好のタイミングです。タイの文化を尊重し、効果的なSNS戦略を実施することで、タイ人観光客に選ばれる目的地となり、持続的な集客につながります。

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